Google Cloudは2024年9月24日に、AIの活用事例を紹介するグローバルバーチャルイベント「Gemini at Work」を開催し、最新のAI製品アップデートとAIポートフォリオを発表した。
一つ目の発表は、生成AI「Gemini」モデルのアップデートだ。Vertex AI上からアクセス可能なGemini 1.5 ProとGemini 1.5 Flashモデル最新版の一般提供を開始した。これらのモデルは、数学能力や長いコンテキストの理解、ビジョンの品質向上を実現する。
なお、Gemini 1.5 Flashの新バージョンはGPT-4o miniより60%高速だ。また、200万のコンテキストウィンドウを備えたGemini 1.5 Proも一般提供中で、2時間の動画の分析や、非常に大きなコードベースまたは長い契約書や財務文書に関する質問への回答など、複雑なタスクに対応する。
さらに、8月にGemini 1.5 Flashを改良し、コストを最大80%削減した。今回、Gemini 1.5 Proにも同様の改良を施し、入力トークンと出力トークンの両方でコストを50%削減。この価格改定は、2024年10月7日よりVertex AI上で有効になる。
また、一般提供を開始した「Gemini」で使える画像生成AIモデル「Imagen 3」では、プロンプトの理解、指示への追従性、フォトリアリスティックな品質、画像内のテキストレンダリング制御がさらに向上している。
二つ目は、Data Residency(保存時の暗号化)への取り組みだ。現在、保存中とML処理中(※)の2種類のData Residencyに関するコミットメントを提供している。Google Cloudは最近、ML処理に関する取り組みをカナダリージョンに拡大し、今後数週間のうちに日本とオーストラリアのリージョンにも拡大する予定だ。
※ML処理中:プロンプト インジェクション、推論、出力生成などといったデータの機械学習処理を、データが保存されている同じ特定の地域または複数の地域内で実行すること。
三つ目は、新たに発表されたCustomer Engagement Suite with Google AIだ。この新しいアプリケーションは、Google Cloudの対話型AI製品と、オムニチャネルのContact Center as a Service (CCaaS)機能、そしてGoogleの最新のGemini 1.5 Flashモデルを組み合わせたものだ。
これにより、Web、モバイル、音声、メール、アプリといったオムニチャネル機能を単一のプラットフォームで実現することができる。企業はチャネル全体で顧客とやり取りできるようになり、カスタマーオペレーションからのリアルタイムデータを分析できるようになる。
さらに、運用マネージャーと品質保証チームは、KPI、優先すべき問い合わせ内容のカテゴリ、および顧客エンゲージメントを向上させるための改善領域を把握することが可能だ。
また、「Gemini」のマルチモーダル機能が、テキスト、音声、画像などのマルチモーダル情報をサポートする。例えば、携帯電話会社に携帯を下取りしてほしいと電話で伝えた際、バーチャルエージェントがプロセスを説明し、手順が記載されたメッセージも送られてくる。さらに分かりやすいよう、バーチャル エージェントは、質問に対する回答とともに、役立つ画像や視覚補助を携帯電話に直接送信してくれる。
四つ目が、スタンドアロンの「Gemini アプリ(gemini.google.com)」が、Google Workspaceの「Business」「Enterprise」「Frontline」の各プランに含まれたことだ。
ユーザは管理コンソールを通じて、「Gemini アプリ」におけるユーザプロンプトと生成された応答の保持方法を、選択および制御できる。また、組織のデータ、ユーザプロンプト、生成された応答を、「Gemini」モデルのトレーニングや改善に使用しないことを保証する。
五つ目が、新たなセキュリティ アドバイザーだ。このセキュリティ アドバイザーは、企業の事業に合わせた洞察、実用的なガイダンス、さらなる脅威防止とデータ保護の制御を、IT管理者にメールで直接提供し、組織のセキュリティ体制を強化するためのカスタマイズされた推奨事項を提供する。
これには、おすすめの脅威防御、アカウントのセキュリティ対策、データ保護機能を実装するためのガイド付きエクスペリエンスが含まれている。
今後数週間のうちに、セキュリティ アドバイザーは、Workspace Businessエディションのすべてのユーザに提供されるとのことだ。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。