空調機器メーカのダイキン工業株式会社(以下、ダイキン)では、コールセンタへの問い合わせ件数は年間180万件にのぼり、エアコンに関する修理受付やトラブル時の対応といった問い合わせは、冷房を使い始める夏前の6月頃から夏にかけて特に集中する傾向にある。
これまでは人による対応が中心であったが、近年の酷暑による需要拡大や繁忙期にあわせた人材確保が課題となり、センターの安定運営による顧客満足度の向上と業務効率化を目指し、AIを活用した自動化ツールの検討を開始した。
そしてダイキンは、エアコンの修理受付やトラブル時の問い合わせで、コールセンタ業務の効率化および顧客サービスの向上を目的に、株式会社トゥモロー・ネットのAIを活用した自動化システム「CAT.AI CX-Bot(キャットエーアイ シーエックス・ボット)」(以下、CX-Bot)を導入したことを発表した。
これまでエアコンの修理受付やトラブル対応の問い合わせでは、住所や氏名の聴取に加え、故障部分や状態の確認を行う必要があり、音声だけのやり取りでは、ユーザが情報・状態を正確に伝えることに苦労する場合があった。
「CX-Bot」では、チャットボット(テキスト)とボイスボット(音声)を1つのプラットフォームで同時に利用することができるため、言葉で説明が難しいものやユーザ側で該当する選択肢が思いつかない場合は、テキストチャット内で、ボタン形式で回答を誘導することが可能だ。
また、高齢者でも利用できるよう、AIの1回の発話につき1つの情報だけ聴取することや、「〇〇のようにお話ください」のような発話例を入れ、使いやすいシナリオ設計となっている。
さらに、ボイスボットとチャットボットなど機能を併用する際には、簡単な質問はボタン形式で回答できる設計で入力の手間を省いている。
なお、ダイキンでは、2023年6月から「CX-Bot」を運用開始し、AI対応完了率96%を達成したとのことだ。
ダイキンのサービス本部 西日本コンタクトセンター室長の久保田真一氏は、「今夏はボイスボットで約3万件のお問い合わせに対応し、コンタクトセンタの繋がりやすさ(応答率)を3%向上することができたため、今後さらに利用率を向上していく事で電話の繋がりやすさに直結できると考えている。実際に利用されたお客様からも好評の声を頂いており、今後は対応範囲を拡大し、CXを向上させていく。」とコメントしている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。