富士通株式会社は、市街地や施設内に設置された監視カメラ映像を、同社のAI技術「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、「Zinrai」)と、スーパーコンピュータ技術で培った高速画像処理技術を活用し、都市の状況をリアルタイムに把握するソフトウェア「FUJITSU Technical Computing Solution GREENAGES Citywide Surveillance(グリーンエイジズ シティワイド サーベイランス)」(以下、「シティワイド サーベイランス」)と、インテリジェントな駐車管理を実現するソフトウェア「FUJITSU Technical Computing Solution GREENAGES Parking Analysis(グリーンエイジズ パーキングアナリシス)」(以下、「パーキングアナリシス」)を10月3日より販売開始した。
都市人口の急増や経済活動の複雑化が進む中で、犯罪や災害、事故から人々の生活を守り、安心して暮らせる都市環境を実現することが世界的な社会課題となっている。こうした課題に対して、監視カメラの利用が進んでいるが、都市全体を広範囲に把握するためにはカメラが数千台規模に及ぶ場合もあり、人が目視で確認するのには限界がある。
同社は、2015年に、アラブ首長国連邦ドバイ首長国にて、屋外や地下などの駐車場に設置してある監視カメラを活用した実証実験を行い、駐車状況の把握やカウントなどの認識精度を検証してきた。
今回、同社が提供する「シティワイド サーベイランス」と「パーキングアナリシス」は、株式会社富士通研究所、および富士通研究開発中心有限公司が研究開発した「Zinrai」の最先端のAI画像解析技術を搭載し、都市全体の車や人の動きを把握することで防犯や生活最適化に貢献していくという。同ソリューションの特長は下記。
「シティワイド サーベイランス」
「シティワイド サーベイランス」は、大量の画像データの学習により認識モデルを構築し、このモデルに基づいて画像認識を行うディープラーニングなどの最先端AI技術により、車両の車種や人物の着衣タイプなどの特長まで認識することができる。これらの情報は、同社がスーパーコンピュータで培ってきた分散・高速画像処理技術により、高精度かつリアルタイムに監視カメラ映像から抽出される。
同ソリューションは、空港・駅・幹線道路・工業団地・ショッピングモール・駐車場といった施設や、市街地などの公共スペースに幅広く活用でき、全体的な車や人の動きの把握や防犯などに適用できるという。
<主な機能>
- 車両識別:車型(メーカー・モデル)・車種・車色を識別する。
- 車番認識:車両のナンバープレートからナンバーを読み取る。
- 人物識別:上半身・下半身の着衣タイプと色を識別する。
- 車両・人物のカウント:車種別の車両台数や人数をカウントし、検知時刻を記録する。
- 顔識別:自動的に人物の顔を追跡・検索したり、事前に登録された人物の顔を検知する。
<AI学習サービス(オプション)>
「シティワイド サーベイランス」に組み込まれている車両や人物を画像認識する認識モデル以外に、顧客独自の認識対象を追加する場合、同社のAIエキスパートが高精度な認識モデルを構築し、機能を柔軟に拡張することができる。
「パーキングアナリシス」
「パーキングアナリシス」は、監視カメラ一台あたり最大100台分の駐車スロットの空き状況を映像から分析し、リアルタイムに把握できる。また、屋内駐車場など広範囲で監視できない場合は、出入り口の映像からカウントを行い、ゾーン内の入庫可能数を割り出すことが可能。
これにより、駐車場を運営する顧客は、スマートフォンを活用した駐車場空き状況の確認などの顧客サービスの向上や、長時間駐車や駐車禁止エリアの監視によるセキュリティの強化、利用状況に応じた駐車料金設定による収益最適化といったマーケティングの強化など、さまざまな目的に利用できる。
なお、「シティワイド サーベイランス」との組み合せにより、車種や車番といったより詳細な車両情報の管理や、車上荒らしの監視など、より高度な駐車場管理を実現するという。
<主な機能>
- 駐車スロット・ゾーン監視:スロット単位の満空、もしくはゾーン内の駐車台数を常時把握する。
- 異常検知:駐車禁止区域の駐車や、スロットをまたいだ駐車を自動検知する。
- 時系列分析:過去のデータから利用状況の時系列変化(日次・週次)を表示する。
※同ソリューションは、日本国内での販売に加え、海外(英国・フランス・中東・シンガポール・中国)での販売が計画されている。
【関連リンク】
・富士通(FUJITSU)
・富士通研究所(FUJITSU LABORATORIES)
・富士通研究開発中心(FRDC)
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