ソラコムの新機能、「Krypton」「Lagoon」 ーSORACOM Discovery2018レポート1

ソラコムの年次イベント、Discoveryが今年もANAインターコンチネンタルホテルで開催された。

毎年、大きな昨日アップグレードが発表されるこのイベントだが、今年は、「K」「L」が発表された。

これまでのことをあまりご存知ない方に補足すると、ソラコムのサービスラインナップは、創業当時からアルファベット順に命名されている。

SORACOM Air データ通信
SORACOM Beam データ転送支援
SORACOM Canal プライベート接続
SORACOM Direct 専用線接続
SORACOM Door 仮想専用線接続
SORACOM Endorse 認証サービス
SORACOM Funnel クラウドリソースアダプタ
SORACOM Gate デバイスLAN接続
SORACOM Inventory デバイス管理
SORACOM Junction 透過型トラフィク処理

これらが、これまでリリースされてきたサービスだ。

単純な通信サービスとなるAirからはじまり、通常通信会社以外には解放されない機能を管理画面から使えるようになったり、企業の既存情報システムとの接続性を担保したり、デバイス管理やセキュリティ面での対応ができたりと、これまで通信に関して自社でコントロールすることができなかったことの多くが機能として提供されているため、高度な運用を考えた時、これほど柔軟に管理できるサービスは他にないとも言える。

さらに、昨年グローバルSIMでも同様のサービスが開始されたことで、105の地域で同じサービスが利用できるようになった。つまり、国内で立ち上げたサービスを海外でも行う場合にも強い味方となるということだ。

今回、リリースされた、「K」と「L」の機能はどういう機能なのだろう。

SORACOM Krypton

SORACOM Discovery
株式会社ソラコム 最高技術責任者 安川 健太氏

「セキュアプロビジョニング機能」と、聞きなれない言葉で表されるこの機能。クリプトンとはスーパーマンの生まれ故郷「クリプトン星」で聞いたことがある方も多いだろう。

どういう機能なのだろうか。

IoTにおけるデバイスの通信では、単純に接続するとセキュアな通信が担保されない。そこで、デバイス上に認証情報を置くことなるのだが、この認証情報をデバイスに搭載する手順と管理は、実は複雑なのだ。

なぜなら、まずクラウド上でデバイスごとに一意の認証情報を生成し、どのデバイスにどの認証情報を搭載するかを決める必要がある。そして、それぞれのデバイス一つずつに正しく認証情報をいれ、アクティベートしたのち疎通テストをやる必要があるのだ。

これが、10台だけなど、限定的な利用であれば問題は発生しないが、量産工程にあるデバイスの1台1台に正確に導入するのは簡単ではない。

実際に製造をする現場では、不良品など品質面で問題がある製品は出荷されないので、機械的に鍵情報を入れていった場合、弾かれた製品に搭載した鍵は無効にする必要がある。

しかし、実際にはすごい速度で製造が進んでいる中、これを正確に管理することは難しい。

そこで、ソラコムは、デバイスをSIMが認証するという方式をとったのだ。SIMがデバイスを認識すると、ソラコムのクラウドプラットフォーム上にその情報を伝える。SORACOM Kryptonと呼ばれるモジュールが自動的にSIMを使ってデバイスを特定するのだ。

SIMをつかった通信での認証情報の取得と、SIMを使わない取得の両方で利用可能ということだ。

SORACOM Discovery
SIMを使って認証する場合(図はソラコムウェブサイトから引用)
SORACOM Discovery
SIM以外の通信方式で認証する場合(図はソラコムウェブサイトから引用)

このやり方であれば、品質検査をクリアした製品で、かつ出荷された製品だけに認証情報を渡し、管理することができるのだ。

SORACOM Lagoon

SORACOM Discovery
株式会社ソラコム 執行役員
プリンシパルソフトウェアエンジニア
エバンジェリスト 片山 暁雄氏

ソラコムのクラウドプラットフォーム上には、多くのデバイスから取得するデータが通る。このデータを格納しておき、簡単な可視化ができるサービスが、SORACOM Harvestなのだが、Lagoonでは、Harvestに蓄積されたデータを使って、ダッシュボードを簡単に作ることができるサービスだ。

せっかくデータが溜まっているのだから、いろんな切り口で可視化できれば、高価な分析ツールを使わなくても必要な情報を見ることができる。しかも、利用者を登録すればSORACOMの管理画面が使えない人であっても、パソコンやスマートフォンで見ることができる。

SORACOM Discovery
SORACOM Lagoonの画面イメージ(図はソラコムウェブサイトから引用)

まずは、取得したデータを手軽に見たいというニーズから始まった企業が、データを見やすく加工して作業現場などで見たいという用途であれば十分な機能と言えるだろう。

さらに、アラート機能もあるので、閾値を超えた時に通知することもできるということだ。

今年も、現場の悩み事を、ゼロベースに解決し、そのサービスに取り込んだ新機能を発表したソラコムだが、その他の発表の内容は次回以降紹介する。

関連リンク:
ソラコム

Discovery 2018関連記事
ソラコムの新機能、「Krypton」「Lagoon」

参考 これまでのSORACOMの機能解説記事:
【前編】SORACOMが発表した新サービスは、なにがすごいのか? SORACOM Connected
【後編】SORACOMが発表した新サービスは、なにがすごいのか? SORACOM Connected
SORACOMの新サービス、”Door”と”Gate”でなにができるか? -SORACOM Discovery2016レポート
ソラコムの新サービス InventoryとJunction ーSORACOM Discovery2017①

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