【後編】コマツ四家氏・ウフル八子氏が語る、建設現場のオープンプラットフォーム「LANDLOG」はいかにして生まれたのか

社内に「2つの時計」をもつことの意味

ウフル 八子知礼氏(以下、八子): 我々がコマツさんのアドバイザーとして参画させていただいている中で、小さなプロジェクトが8つほど動いていました。そのうちの3つは、現場と議論したけどうまく進まないというものでした。やはり進むものは進む、進まないものは進まないんです。

四家さんもスタッフの方も、2、3か月でうまくいかないなら次に行きます。とにかくPDCAのサイクルが速いのです。あとは、一度捨てたものにはもうこだわらない。

コマツ四家氏・ウフル八子氏が語る、建設現場のオープンプラットフォーム「LANDLOG」はいかにして生まれたのか
八子知礼氏:松下電工(現パナソニック)、複数のコンサルティングファームを経た後、シスコシステムズのビジネスコンサルティング部門のシニアパートナーに就任。2016年4月よりウフル専務執行役員兼IoTイノベーションセンター所長。通信/メディア/ハイテク業界中心のビジネスコンサルタントとして新規事業戦略立案、バリューチェーン再編等を多数経験。2018年7月よりウフルCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)に就任。株式会社アールジーン社外取締役や広島県産業振興アドバイザーを歴任。著書に『図解クラウド早わかり』『モバイルクラウド』(いずれも中経出版)、『IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科書』(SBクリエイティブ)、『現場の活用事例でわかる IoTシステム開発テクニック』(日経BP)がある。

四家さんのスタンスは、「とにかくアイディアがあったらやってみようよ」ということです。そこが明らかに大企業のアプローチとは違います。

面白いのは、部下の方々が同時並行的に抱えきれないほどたくさんのプロジェクト進めている中で、いつも顔を見合わせて、「四家さんから新しいプロジェクトが落ちてきたらどうしようかな…」という顔をしているんですよね(笑)。

四家: みんな抱えきれないほどのプロジェクトがあるんですけど、そこに新たに落ちてくると、それぞれがプライオリティを考えて、落とすものは落としていきますからね。ダメなビジネス案は自然と淘汰されていくんです(笑)。

八子: そうなんです。コマツさんは優先順位をつけてとてもうまくやりくりされます。柔軟であるということが、大企業であるにもかかわらず担保されている。そこがすごいところです。

四家: ただ、これはぜひコメントしておかないといけないのですが、コマツという会社全体がこのようなスタイルになったら、ぼくはダメだと思います。重要なのは、二つのスタンダードがあることなんです。

小泉: さきほどおっしゃっていた「時計が二つ」ということですね。

四家: そうなんです。

小泉: 逆に少数精鋭のウフルさんですが、そんなコマツさんをどう見ていますか?

コマツ四家氏・ウフル八子氏が語る、建設現場のオープンプラットフォーム「LANDLOG」はいかにして生まれたのか

八子: やはり、約3年前に初めてお話をうかがった時から、「現場の課題を解決する」という考え方が、全くぶれてないんですよね。コマツさんのビジネスと関係がなくても、「それを解決しないと、現場の安全と生産性がよくならない」といってやるんです。

いわゆる、社会的な「大義」です。普通の企業であれば、プラットフォーム化を検討する際に、「うちの会社の大義って何だっけ?」という話に戻ってしまうんですよ。

「それをやらないと現場が困る」ということであれば、コマツさんは躊躇しません。「Edge Box」(ドローンで撮影した建設現場のデータを高速で計算し、3Dの地形データを作成するハードウェア)についてお聞きした時はびっくりしました。

「NVIDIAさんのコンピュータを使って画像認識をやる。PoC(概念実証)で色々つくっている」と四家さんがおっしゃるんです。「Edge Box」はサーバーですよ? それが半年も経つとできあがっているんですから。PoCじゃなかったのかと…。

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