足に伝わる「感触」でこどもの迷子を防ぐ、LIONがつくる新発想のウェアラブルライフガジェット「NOSSY」 ―ライオンイノベーションラボ インタビュー【第4回】

きっかけは、家族とのアイデアソン

小泉: 「NoMaps」に出展してみて、反響はどうでしたか?

藤原: 4歳~10歳くらいのお子さんに体験してもらったのですが、私たちが予想していた以上に、喜んでくれましたね。子供たちの笑顔がたくさん見られて、つくってよかったなと実感しました。

また、親御さんの中で、お子さんが「NOSSY」を体験している姿を見ながら、以前に迷子になった時のことを思い出して感極まってしまう方もいらっしゃいました。お子さんの迷子を防止する取り組みというのは、本当に大事なことなのだなとあらためて感じました。

小泉: そもそも、なぜ「NOSSY」をつくろうと思われたのでしょうか。

藤原: 理由は二つあります。ライオンは日用品を扱うメーカーではありますが、その商品がお客様の手に届くまでには、必ずお店での「体験」があります。その体験に至るプロセス、つまりお店の中の空間においても、ライオン自身として何か楽しい環境をつくれないものだろうかと考えました。これが一つ目の理由です。

もう一つの理由ですが、今年の4月に「078kobe」(音楽・映画・IT・食・ファッション・こどもをテーマにした参加型フェスティバル)にライオンが出展し、「家族のお出かけシーンの困りごとを解消する」というテーマで、来場したご家族の方々とライオン社員が一緒になってアイデアソンを行いました。

その時に、ご家族にとってお子さんの迷子が大きな困りごとであることがわかったのです。その後も社内で議論を続け、製品化に向けたプロトタイピングを開始することになりました。

小泉: そうだったんですね。とはいえ、製品化に向けた検討となると社内のさまざまな方の理解を得ないと難しいと思いますが、それはイノベーションラボだからできることですか?

藤原: はい、オープンイノベーションを進めている場だからできるのだと思います。「NOSSY」はわかりやすい例です。アイディアはお客様から生まれましたし、デバイス技術については慶應義塾大学さん(同大大学院メディアデザイン研究科:KMD)、そして体験のプロデュースについてはDrillさんなどと連携して開発を進めています。

足に伝わる「感触」でこどもの迷子を防ぐ、LIONがつくる新発想のウェアラブルライフガジェット「NOSSY」 ―ライオンイノベーションラボ インタビュー【第3回】
白衣ではなく、イノベーションラボの青いオリジナルジャケットを着、「NOSSY」について語る藤原優一副主任研究員。博士号(工学)を取得し、燃料電池材料の基礎研究にまい進してきた藤原副主任研究員は今、デバイス技術を使った「体験型」の製品開発に挑戦している。

小泉: 藤原さんは博士号もお持ちですね。これまでと随分と異なる取り組みですよね?

藤原: はい。なので正直、とても大変です(笑)。どちらかというと、機械には疎い人間でしたから、デバイスの配線系がうまくつながらないだけで、何が起きているのかよくわかりません。専門の方であればすぐに気づけることですが…。地道に勉強しながら進めています。

小泉: しかも、お子さんに体験してもらうわけですから、試行錯誤が必要な取り組みだと思います。

藤原: そうなんです。「感触」を実感してもらうまでにもかなり苦労がありました。ヒトの感覚というのは複合的なものですから、足元の振動だけでは伝わらない場合もあります。そこで、何の要素が足りないのかを考え、試行錯誤し、足元に雪を模したシートや音の演出などを加えていきました。

小泉: そうだったんですね。

藤原: 「感覚」というのは面白いです。「NoMaps」は北海道のイベントですから、こどもたちは雪を踏んだ感触を知っています。でも、「ゾウの歩き方」はわからないので、「?」がたくさん浮かぶのです。こうした未知の感覚によって生まれる体験についても、色々と模索していきたいなと思っています。

小泉: 商品化はいつ頃を想定していますか?

藤原: できるだけ早く商品化したいですね。とはいえ、中身を完全につくりあげてから商品化というよりは、お客さんが迷子になりやすいショッピングモールや大きな公園で実証実験を早期に進めながら、商品化に向かっていきたいと考えています。

小泉: 貴重なお話、どうもありがとうございました。

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