製造業のデジタル時代の品質保障体制の在り方-ものづくり白書2018

「現場力」を再構築する「経営力」の重要性

製造業の品質保証体制の強化が急務となっている。組織として品質が担保される仕組みを経営者主導で 構築することが重要だと考えられているからだ。

具体的には、Connected Industriesの推進による、うそのつけない仕組みやトレーサビリティの確保等の構築。そして、品質担当役員の設置等のガバナンスの実効性向上等がこれにあたる。

そうした中、現在、出荷前の検査状況のデータ化・検査工程の自動化を実施中の企業の割合は9.0%となっている。 一方で、多くの企業が「可能であれば実施したい」と回答している状況だ。

この傾向は、今後経営者に対する先進事例の共有等で後押しされるだろう。

事業継続能力の強化のためのBusiness Continuity Plan等の重要性

[S18-1]BCPや社内規定・マニュアル等の整備状況

BCP(Business Continuity Plan、問題が発生しても業務が中断しないことを想定し、もし中断した場合でも早期に復旧するための準備をしておくこと)や社内規定、マニュアルは大企業では8割近くで整備されているが、中小企業は1/3にとどまっている。

企業規模による取組程度の差が極めて大きい。

[S18-2]BCPや社内規定・マニュアル等の整備状況-大企業と中小企業の差

中小企業におけるBCP等の策定について量・質ともに課題である。

[18-3]BCPや社内規定・マニュアル等の規定段階

BCP等を策定している企業が訓練や演習及び見直しを定期的に行っている割合は、過半数を割っている。とりわけ中小企業の実施割合は低く、策定後の実効性の確保・向上にも課題が存在しているようだ。

[S18-4]訓練や演習の実施状況

一方で、BCP等を策定している中小企業が訓練や演習及び見直しを行っている割合は、整備率を踏まえると思いのほか高く、中小企業の中で意識の差が開いている可能性が考えられる。

[S18-5]定期的な見直しの実施状況

中小企業のリスク認識を高めることが必要だと考えられている。
(2018年ものづくり白書「概要」より抜粋)

INSIGHT

BPCのポイントは、

(1)災害やトラブルの想定規模
(2)事案に対する行動力

の2つだ。

人間は、想定外の出来事にはパニックになり行動不能となることが多い。

「想定外」という事態にならない様に、荒唐無稽でもあらゆる状況を想定しておく柔軟な発想がBCPの基本となる。つまり、「ありえない」ではなく、「あるかもしれない?」という姿勢が重要なのだ。

そして、事案発生時の迅速な対応力は、防災と同じように定期的に訓練を行うことに尽きるともいえる。1年に1回程度で構わないので、「想定マニュアルに従って、やるべきことをやる」ことが重要だ。

組織の強さは、こうした備えが出来るかどうかが大きな差となるので、企業の規模によらず、心構えと準備が必要となるのだ。
(IoTNEWS製造領域エバンジェリスト 鍋野)

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