「2025年の崖」に向け、日本企業にはいま何が必要か ―鍋野敬一郎×八子知礼×小泉耕二【第17回】

ERPに対する、日本と欧米の考え方の違い

小泉: そして、今はIoTの時代です。ERPのシステムにIoTによって取得したリアルタイムのデータを組み合わせていくことが重要になってくると思います。そうした取り組みは世界でどれくらい進んでいるものなのでしょうか。

鍋野: まず、欧米の企業と日本の企業ではERPに対する考え方が異なります。国民性の違いによるものだと思いますが、日本の場合は、とにかく失敗せず確実に進みたいと考えます。そのため、まずは社内のいちばん身近なところの課題解決にシステムを使おうとします。いわゆる、カイゼンやボトムアップといわれる日本ならではのアプローチです。

ところが、欧米は逆です。せっかくシステムを活用するなら、チャレンジをしよう、お金に変えようと考えます。

「2025年の崖」にむけ、経営者が今知っておくべきこと ―鍋野敬一郎×八子知礼×小泉耕二【第17回】
(左)株式会社アールジーン代表取締役/IoTNEWS代表 小泉耕二、(右)IoTNEWS顧問/株式会社フロンティアワン代表取締役/IVIエヴァンジェリスト 鍋野敬一郎

小泉: それは、具体的にどういうことでしょうか。

鍋野: 日本と欧米では、仕事のパフォーマンスに対する評価の仕方が違うことが背景にあります。日本の場合、与えられた仕事をしっかりこなしたかどうかが成果になります。それに対して、欧米は新しいことをしかけた人が評価されます。最終的に行きつくところは同じなのかもしれませんが、スタート地点が異なるのです。

小泉: なるほど、情報システムの活用によって、最終的には同じところにむかうものの、そこにむかう道筋が違うと。

八子さんもこれまで外資系企業につとめ、様々な企業のコンサルティングを手がけてこられましたが、デジタルの活用という面において、違いを感じますか?

八子: 日本と欧米の違いにおいて、ERPはとくに典型的だと思いますよ。ERPは「エンタープライズ・リソース・プランニング」という名前にあるように、「計画に資するために色々な情報を集める」ということが目的です。それなのに、結局は実績管理にしか使っていない、というのが日本です。

鍋野さんのお話にあったように、欧米は実績の管理をしたうえで、そこから新規事業の検討や次年度のプランニング(計画)に活用しようとします。発想が違うのです。日本は過去のことを見るためにERPを使っているわけです。

小泉: 実績のデータを見て、過去をふりかえるというのは、イメージしやすいです。一方、未来にむかってERPを活用するというのは、具体的にどういうことなのでしょうか。

次ページ:計画を立てるためにERPを使う欧米企業

無料メルマガ会員に登録しませんか?

膨大な記事を効率よくチェック!

IoTNEWSは、毎日10-20本の新着ニュースを公開しております。 また、デジタル社会に必要な視点を養う、DIGITIDEという特集コンテンツも毎日投稿しております。

そこで、週一回配信される、無料のメールマガジン会員になっていただくと、記事一覧やオリジナルコンテンツの情報が取得可能となります。

  • DXに関する最新ニュース
  • 曜日代わりのデジタル社会の潮流を知る『DIGITIDE』
  • 実践を重要視する方に聞く、インタビュー記事
  • 業務改革に必要なDX手法などDXノウハウ

など、多岐にわたるテーマが配信されております。

また、無料メルマガ会員になると、会員限定のコンテンツも読むことができます。

無料メールから、気になるテーマの記事だけをピックアップして読んでいただけます。 ぜひ、無料のメールマガジンを購読して、貴社の取り組みに役立ててください。

無料メルマガ会員登録