「2025年の崖」に向け、日本企業にはいま何が必要か ―鍋野敬一郎×八子知礼×小泉耕二【第17回】

計画を立てるためにERPを使う欧米企業

八子: たとえば企業は、1年後、3年後、あるいは5年後に、どのエリアに対してどの製品をどれくらい販売して、そのためにロジスティクスはどうするか、どの営業所にどれくらいの人員やシステムを投資するべきか、という具体的な計画を立てますよね。その際に、欧米はERPを使うのです。

日本の場合はそうではなく、計画を立てる際にまた別途データを集めるので、その結果、膨大な工数がかかります。欧米ではERPである程度把握できていることを、スムースに横展開するしくみができているので、計画を立てやすいのです。

「2025年の崖」にむけ、経営者が今知っておくべきこと ―鍋野敬一郎×八子知礼×小泉耕二【第17回】
株式会社アールジーン社外取締役/株式会社ウフルCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー) IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子知礼

小泉: 整理しておきたいのですが、「システム」というと、ボタンを「ピッ」とおすと何かのアウトプットが出てくるイメージがあります。そのように、ERPには何かしらの未来予測が出てくる機能があるということでいいのですか?

鍋野: あります。ただ、多くの場合、そのままでは精度が十分ではないので、人が考えた知見も加えていかなければなりません。達成できない計画を立てても意味がないですからね。

小泉: では、日本も欧米も実績データはあり、同じようなERPのシステムは持っているのだけれども、根本の考え方が違うために、使い方が異なるということですね。

鍋野: そうです。より具体的には、日本の場合は、昨年の実績を100%とすると、今はこれだけのリソースがあるので、今年は110%を目指そうという計画の立て方をします。

欧米は違います。「現状のリソースでは110%が妥当だね」ではなく、自分たちは1年後、3年後にどの地点にいなければならないのかをみすえた上で、計画を立てます。そこに到達するために、リソースが足りないのなら、どこからもってくるか、あるいは今のリソースのままでも到達できる方法がないかを考えます。

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