「2025年の崖」に向け、日本企業にはいま何が必要か ―鍋野敬一郎×八子知礼×小泉耕二【第17回】

「データを見るだけ」で終わってしまう日本企業

小泉: なるほど。IoTでも同じような議論がありますよね。IoTによって、現実世界のデータがどんどん取れてきます。そうすると、あとはそれをどう活用するかが問題ですが、日本の場合は取れてきたデータを見るのはいいが、それをどう活用するかの議論は進んでいないという現状があるように思います。それはどうしてでしょうか。

鍋野: IoTの関連で最も多い相談が、「次に何をやればいいですか?」という質問です。PoCはうまくいっている、見える化はもしかしたら欧米より進んでいる、でも、その次に何をやればいいのかを考えていないのです。

そもそも、自分たちの課題や危機感をもとに取り組みを始めたのではなくて、ドイツなどの先行事例に対して、「追いつかなくては」という思いからやっていたことが背景にあると思います。追いついてしまった今、はたと自分はどこへ進めばいいのかわからなくなるのです。

小泉: そういう質問がきた場合、鍋野さんはどのようにお答えになるのですか。

鍋野: 「何をやりたいかは、自分で考えてください」と言っています(笑)。あたりまえのことですが、目標は自分たちで決めないといけません。デジタル化はあくまで手段ですから。

小泉: 八子さんもそういう相談はきますか?

八子: めちゃくちゃ多いです(笑)。そもそも論で言うと、「それは考えていないあなたが悪いですよ」という話になります。ただ、別の答え方もあります。

「技術」というものは、10年後どうなるかわからないと言いながらも、大体は見えているものです。たとえば近い将来、通信の速度がどれくらい速くなるのか、コンピューティングの能力がどれくらい高くなるのかということは、ある程度予測できています。5Gにおいては、空間のリアルタイム転送が可能になるということは明白です。

そうすると、経営で何ができるかということは、おのずとわかります。ERPとIoTが組み合わされば、たとえばインドネシアの〇〇支店で行われているオペレーションにおいて、これまでは1か月に1度しか実績を把握できなかったところが、データ収集のリアルタイム性が上がることで、1日単位で実績を把握できるようになります。

その結果、企業は何ができるでしょうか。色々とあるはずです。技術が上がると、できることはおのずと決まります。そもそも、そうした技術に対する感度とイメージを持っていないことが問題です。

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