AIoT のパワーを解き放て―― AIとIoTを統合したAIoTを今すぐ導入すべき理由とは?

富士通研究所と熊本大学、時系列データのAI利用を加速させる自動ラベル付け技術を開発

近年、IoTなどの進化により、様々なセンサーから多くの時系列データが得られるようになっている。しかし、従来のセンサーから得られる時系列データには、時々刻々変化する数値データしか含まれず、AIに学習させるための教師データを作るためには、手動で「いつ」「何を」したかといったラベルを数値の変化に応じて細かくデータに付与しなければいけない。

例えば、ランニングの際の加速度センサーのデータでは、走っている状態、歩いている状態、止まっている状態などが混在しており、これらのデータをAIに学習させるには、それぞれのデータを区間に切り分けて、「走っている」「歩いている」「止まっている」といったラベルを付与した教師データを作成する必要があった。そのため、工数が膨大となり、時系列データのAI活用が進まず、ラベル付与作業の手間を削減する自動化技術が求められていた。

今回、株式会社富士通研究所と国立大学法人熊本大学は、加速度センサーやジャイロセンサーなどの時系列データに対して、AIを適用する上で必要な教師データを簡単に作成できる技術を開発した。同技術は、複数動作を含むような長い区間ごとに、主要な動作と判断された1つのラベルを手動で付与していくだけで、それぞれの動作ごとに適切なラベルが付与された教師データを自動で作成することができる。

これにより、工数を大幅に削減できるため、時系列データのAI利用を加速し、転倒検知や運動機能チェック、機械異常検知などの機能をスマートフォンや各種機器にも手軽に搭載できると見込んでいる。また、時系列データからAI用の教師データを容易に作成できるため、センサーがとらえた特徴をAIが判断するような機能の開発も期待される。

同技術の特長は以下の通りである。

  • 適切な区間抽出
  • 時系列データの中で、同じ動作が継続している時の特徴と動作が変化する時の特徴を学習し、時系列データから同じ特徴を持つ動作の時間帯を適切に自動抽出(注3)することが可能である。

  • ラベル付与技術の向上
  • 今回、長区間(例えば1時間)ごとのデータに対して、大半が走っている場合には「走っている」という大雑把なラベルを1つ付与しておく。これらのラベルを予測できるようにディープニューラルネットワークを学習させたあと、この学習済のディープニューラルネットワークを使って時系列データを読み込ませ、結果として出てきた推定ラベルから、時系列データのどの区間が最も予測に寄与したかを計算する。その寄与度が高い時間帯をラベル候補として集計していくことで、予測が可能な教師データを作成できる。

  • 様々なセンサーに対応
  • 時系列データの数値の特徴から判断を行い、センサーの種類には依存しないため、例えば温度センサーや脈波センサーなどにも適用が可能である。

富士通研究所と熊本大学、時系列データのAI利用を加速させる自動ラベル付け技術を開発

今回、工場における研磨などの作業を模した動作からなる加速度センサーの時系列データに対して、ラベルを付与する実験を実施したところ、92%の時間帯で正しくラベル付けができたことを確認した。これは、人手でラベルを細かく付与したデータを教師データとした時と同等の結果であることが認められたという。

今後、様々な分野の時系列データを用いた実証実験を進め、富士通株式会社のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」の時系列データ向け前処理技術として2019年度中の実用化を目指す。

プレスリリース提供:富士通研究所

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