生産技術向上から販路支援まで、農業をエンジニアリングする ―Trex Edge 池田氏インタビュー

企業:

持続可能な農業をつくっていく

生産技術向上から販路支援まで、農業をエンジニアリングする ―Trex Edge 池田氏インタビュー
左:IoTNEWS 代表 小泉耕二
右:株式会社TrexEdge(トレックスエッジ) 代表取締役社長 博士(工学) 池田博樹氏

池田: よくヨーロッパやアメリカで有機、地消地産という話が出るのですが、その奥にはもう少し深い理由があると思っています。食べるものを自分たちのエリアで、持続可能、継続するように購入しようという取り組みです。

小泉: 購入してくれるという前提があるから安心して作れるし、逆にちゃんと作らなければならないという義務も負うわけですね。

池田: そうです。例えばヨーロッパでは、小学生の尊敬する職業の上位三位内に農業者が入っていたりします。食料生産の重要性など、持続可能になるために自分は何を貢献するか、といったことの教育を行うことも大事なことだと思います。

例えば日本でよく言われる「地方活性化」というものがありますが、ヨーロッパから見ると分かりにくい概念です。

地方というのは農業生産基地である場合が多いです。ヨーロッパでは、そこには圃場が広がっているので、人口が増えなくてもいいという考えです。日本のように「地方に人口を増やそう」といったことを考えません。

合理的な考え方だと思います。農業の大規模化をするなら農業人口を減らさないと大規模化できません。家を減らして畑を増やすという考え方です。人はある程度の都市に住みます。

ゾーニングして整備した方が農業の生産効率も上がるという考えです。

また、日本では農業従事者の人口が減ってきていると言われていますが、日本での農業従事者は150万人、アメリカで300万人です。アメリカの農地の面積は、作物の種類によりますが、30〜100倍あります。

国土の差を考えると日本は足りているのではないのか、というような多様な見方をした上で、農業を支援していかなければならないと思います。

私たちのサービスは、日本4Hクラブ(全国農業青年クラブ連絡協議会)の35歳以下の団体に、特に利用してもらっています。若い人にIT化で支援し、その層をどんどん効率化して、大きくしていこうという試みです。

世界的な動きとしては、規模が大きくなると、隣の圃場の作業請負などを始めていきます。高齢化したところの作業を受けて、中核なものをたくさん作っていくという流れです。

小泉: 初めからそのようなヴィジョンだったのですか。

池田: いえ、やっているうちに形成されていきました。農業は外から見るのと中から見るのでは違いがあります。両方を知った上で全体のヴィジョンを作る人が少ないのではないかという印象です。

今後はTrexEdgeだけではできないことも、ヴィジョンに共感してくれる人を集めてプラットフォーム化しながら一緒にやっていければと思っています。

「Agrion」というサービスも県が推奨してくれています。今ですと熊本県などが熱心に使ってくれています。ですから今後も、県やJAなど様々なところと協業してデジタルを取り入れていければと思っています。

数十年単位でのビジョンを共有し、今やるべきことをやるという方針です。

小泉: 本日はありがとうございました。

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