「現場主義」のIoTで見えてくる、製造業の先にある可能性 ―SORACOM Discovery 2019レポート3、ウフル・旭鉄工・田中衡機・フジテック登壇

深刻な人材不足をIoTで解決

現場主義のIoTで見えてくる、製造業の先にある可能性 ―「SORACOM Discovery 2019」レポート3、ウフル・旭鉄工・田中衡機・フジテック
(左)株式会社田中衡機工業所 代表取締役社長 田中康之氏、(右)フジテック株式会社 常務執行役員 デジタルイノベーション本部長 友岡賢二氏

田中衡機工業所は、新潟県三条市に本社をかまえる、トラックスケールをはじめとする「はかり」の専門メーカーだ。創業は1903(明治36)年で、116年の歴史を持つ。トラックの積載重量をはかる「トラックスケール」や空港で荷物の重さをはかる「カウンタースケール」、競馬場で馬の体重を計量するはかり、畜産向けに豚や牛の体重を計量するはかりなど、手がけるはかりの種類はさまざまだ。

主に2種類のIoTソリューションを手がけている。一つは「はかり×IoT」だ。トラックの積載重量をはかる「トラックスケール」において、既に半分以上にIoTの機能を搭載。何か異常がないかなど、遠隔でモニタリングできるしくみとなっている。

もう一つは「養豚」に関する取り組みだ。株式会社Eco-Porkが中心となり、環境や餌、体重のデータを統合して、ブタの飼育の全自動化を進めている。田中衡機は、ブタの体重を測る装置にデータ収集や自動化の機能を持たせることで、貢献している。

計量の分野では今、大きな課題があるという。「日本の工場で計量管理を行う人材が激減している。実は、計量には技術や知識が必要で、誰でもできるわけではない。そうした深刻な人材不足が、昨今の品質低下やデータ改ざんの問題につながっている」(田中氏)

この問題を解決する手段として、IoTがあるという。たとえば、それぞれのはかりに異常がないか、正確に計量できているかどうかを遠隔でモニタリングするなど、さまざまな方法が考えられる。田中衡機ではその新しいソリューションの開発を今、推進中だ。

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フジテックが展開する、IoTを活用したグローバル遠隔監視システム

フジテックは、滋賀県彦根市に本社をかまえるエレベータ・エスカレータの大手専業メーカーだ。早くから日本国外に進出しており、世界各地に営業拠点と生産拠点がある。そんなグローバル展開を進める同社には、次のような課題があったという。

「国内では、M2Mと呼ばれていた時代からエレベータはつながっていた。しかしそれは、国内に数万台規模の需要があり、まとめて設備投資ができたからだ。それに対して、海外に点在しているエレベータに対し、監視システムのインフラを整えることは難しかった。投資対効果が見えにくい上、現地でオペレーションを行う人材も必要になる」(友岡氏)

そこで、友岡氏はソラコムの「SORACOMグローバルSIM」(現在は「SORACOM IoT SIM」に名称変更)に目をつけた。「2週間で海外のエレベータが11台、PoCとしてつながった。そこからいっきに数百台つなげた。世界のエレベータの稼働状況が日本のオペレーション拠点やスマートフォンから監視できるのだ。これができてしまうのが、クラウド(AWS)のよさであり、ソラコムのソリューションのよさだ」と友岡氏は述べた。

ただ一方で、エレベータの監視システムを実現するまでには、温度や湿度、電圧を測るセンサーなどで地道にIoTの「予行演習」を続けてきたことも重要だったという。「IoTはトライ&エラーが必要。エラーがないと次のアイディアが出てこない。打数を増やしていく必要がある。必ずしも成功ばかりではない」(友岡氏)

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