日本におけるデジタルフォーメーションへの取り組み
ロバート・ジョーンズ氏の次に登壇したのは、シーメンスPLMソフトウェアシニア・バイスプレジデント兼アジア太平洋地域マネージング・ディレクターのピート・キャリア氏である。

キャリア氏はまずシーメンスのソフトウェア戦略において日本が重要な位置を占めていることを語った上で、日本でのデジタルフォーメーションへの取り組みについて説明した。
キャリア氏が述べたのは富士通とのパートナーシップといった企業との連携以外に、日本全国における大学との連携にも取り組んでいること。
具体的には東京大学・中央大学との連携や、2500人のエンジニアリング関係の学生に向けて、シーメンスのテクノロジーやソリューションの教育を行っていることなどが紹介された。
各分野におけるデジタル・エンタープライズ
続いてキャリア氏は「将来のものづくりは、いかにデジタル・エンタープライズを実現できるかにかかっている。」とした上で、各業界に対応するソリューションを進めていることを説明した。デジタル・エンタープライズとは物理的なバリューチェーンの全体に渡る情報をデジタル化することを指す。
先ほどロバート・ジョーンズ氏の説明にあったソニー、ヤマハのようなディスクリート製造(原料の加工、部品の組み立て、製品の検査、原料・部品・製品の搬送といった工程で構成される産業)をはじめ、ハイブリット産業の領域では食品業のデジタル・エンタープライズに関わり、プロセス産業では鉄鋼会社とのデジタル化の取り組みを進めているという。

特にキャリア氏が強調していたのは、宇宙航空産業の分野である。宇宙航空産業における大半の企業ではデータ・コラボレーションやデータ管理のためにシーメンスのソリューションであるTeamcenterを使っているという。
キャリア氏は「三菱航空機は新しいスペースジェットの発表を行ったが、このスペースジェット実現にあたってシーメンスのソリューションと、航空産業における経験を活用し、成功させたい」とも述べた。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。