東芝、AIを活用した太陽光発電量予測技術を開発

近年、電力小売自由化や世界的な脱炭素への動きに呼応して、再生可能エネルギーの導入が拡大している。一方で、再生可能エネルギーは発電量が気象条件に左右されることが多く、電力の安定供給が課題となっている。太陽光発電において電力事業者が安定的かつ効率的な電力供給を行うために、電力の需要量や太陽光の発電量などを予測した上で需給計画を立てることが求められる。

また、2009年11月に始まった固定価格買い取り制度(FIT)の買い取り期間が、本年11月以降に満了となる家庭は50万世帯を超えるといわれており、満了後の余剰電力の使い道が課題となっている。余剰電力を効率的に活用するためにも、発電量の予測は重要となる。

さらに、周波数調整や受給バランス調整といった調整力の調達や取引を行うことを目的とし、2021年度に開設される需給調整市場を見据えて、デマンドレスポンスやバーチャル・パワープラント(VPP)などの新たなリソースの活用も注目されているが、刻刻と変わる需要量と発電量の調整においても、需要量や発電量の予測は不可欠である。

従来の一般的な太陽光発電量予測技術は、太陽光発電の設置場所の気象予測値を参照し、太陽光発電設備の工学モデルを組み合わせて発電量を予測するか、気象条件が近い過去の実績値を用いて予測する手法が用いられていた。

そこで、株式会社東芝は太陽光発電量を予測する技術において、東芝独自のAIを活用した予測技術を開発した。同技術では、東芝独自の気象予測システムから得られる様々なデータを活用するとともに、太陽光発電設備の性能や設置条件が不明な場合でも過去の同設備の発電実績をもとにAIで性能や設置条件を推定し、発電量を予測する。同技術適用前と比較して、予測誤差が約9.8%改善したという。

同技術では、東芝の気象予測とAIを融合した電力需要量予測技術と、東芝が運用する数値気象予報モデルを用いた予測システムから得られた発電量に関係するデータ(日照強度、気温、風速、降雪、太陽光の反射率など)を活用することで、予測モデルを構築できる。特に、発電量への寄与が高い日照強度については、予測値からAIへ実測値をフィードバックすることで、予測誤差の傾向を学習し、予測精度を高めるという。

さらに、太陽光発電設備の性能や設置条件が不明な場合でも、工学モデルとスパースモデリングやアンサンブル学習などの機械学習を融合して、過去の実績データから太陽光発電設備の特長や設置条件を推定するAIを開発し、発電量の予測誤差を改善することができる。

今後、実績データの蓄積や気象予測値の種類を増やしてAIに学習させることで、さらなる予測精度の向上を追求する。また、発電量予測技術ととともに、電力事業者の需給運用を支えるシステムやサービスへの導入を目指す。

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