凸版印刷と東京理科大学、ZETAを活用した熱中症リスク表示サービスの開発に向けて共同研究を開始

近年、地球温暖化や都市温暖化の影響による気温上昇で熱中症のリスクが増大している。熱中症のリスクは定点での気象情報に基づいた表示等があるが、個人の行動パターンや属性(年齢・性別・着衣量・活動状況など)、地面からの距離、周囲の環境によっても熱中症リスクの度合いは異なるため、市民生活の実情に沿ったより細かいエリアでの測定や個人の状況を考慮したリスク評価ができるサービスが求められている。

凸版印刷株式会社は、ZETAアライアンスの一員として、LPWA規格ZETA(※1)の普及を推進しており、2018年10月に発表した医療施設見守りサービスをはじめ、ZETAを活用したさまざまなサービスの開発を推進している。

そして今回、凸版印刷は東京理科大学と共同で、ZETAを活用し数メートル空間単位で熱中症に関するデータを収集・分析し、リアルタイムで個人に合わせた熱中症リスクを表示するサービスの開発に向けて共同研究を開始する。

また、共同研究の開始に先立ち、2019年7月から9月末まで東京理科大学キャンパス内とその周辺において、可搬型熱中症リスク評価センサとZETA通信の連動性確認や屋外活動時の熱中症リスク評価、クールビズの効果調査を行う実証実験を実施している。

同共同研究は、東京理科大学理工学部土木工学科 仲吉信人准氏が研究する可搬型熱中症リスク評価センサを用い気温だけでなく、湿度・風速・日射・輻射熱の気象データから計算される体感温度指標と個人の属性(年齢・性別・着衣量・活動状況)や所在する環境などの情報を組み合わせリアルタイムで個人に合わせた熱中症リスクを表示するサービスの開発に取り組むものである。

移動可能なセンサによるデータ取得と通信に活用するZETAの特長である中継器によるマルチホップにより、LTE(携帯)電波が届かないエリアでも通信環境を延長でき、山間部などの遠隔地含めた広範囲なエリアの熱中症リスクを表示することが可能である。これにより、従来では取得が難しかった市区町村よりもさらに細かいエリアにおける熱中症リスクのデータ取得を実現する。

また、ユーザー個人の属性・体感とセンサで取得した気象データを連携することで、従来の気象データによる熱中症リスク測定では考慮されていなかった個人に合わせたリスク表示が可能となる。

今後、自治体や企業に向けて凸版印刷より2020年度中の販売開始を目指し、屋外労働者の労務管理や市民に向けた防災サービスとして熱中症予防への貢献していく方針である。

なお、同共同研究における各者の役割として、凸版印刷はZETA通信環境の整備、サービス化に向けたアプリケーションの開発を担い、東京理科大学は可搬型熱中症リスク評価センサ提供、取得データ分析、熱中症リスクガイドラインの策定、実証フィールドの提供を行う。

※ ZiFiSenseが開発した、超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つ、LPWAネットワーク規格。LPWAの規格のひとつであるZETAは、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を行うことで、他のLPWAと比べ、基地局の設置を少なくでき、低コストでの運用が可能な方式として注目されている。

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