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日立、新開発AIを活用して医薬品の効果に影響を与える重要因子を探索するサービスを提供開始

近年、高齢化社会の進展により医療費が増大するとともに、医療技術の高度化に伴って医薬品の開発費も高騰しており、医薬品メーカーは、迅速かつ効率的に医薬品を開発し、市場に投入していくことが求められている。しかし、遺伝子検査や画像診断技術の急速な発展によって人体の膨大な情報を取得できるようになり、従来の人手による統計解析(※1)のみでは、医薬品の効果を予測するバイオマーカー(※2)の探索が困難になりつつある。

こうした中、株式会社日立製作所(以下、日立)は、医療データ解析に適したAIの開発を進め、患者の再入院リスク予測や、臨床試験における情報収集業務の効率化に向けた協創に取り組んでおり、医薬品と人体の関係を表すバイオマーカー候補を探索・生成するために、ディープラーニング技術を導入している。

従来のディープラーニングは、数万から数億にもおよぶ人工ニューロン(※3)からなるネットワークに複数の因子を入力して、別の因子を新しく生成することで、予測精度を高めてきた。しかし、ディープラーニングが生成した因子とその生成過程は、人が理解するにはあまりにも複雑なため、分析結果の根拠を提示することが求められる医薬品の開発に適用するのは困難だった。

そこで日立は、人体の遺伝子や電子カルテなどの情報から医薬品の効果に関連する因子を抽出し、それらの因子を用いて簡便な数式を組み立てることで医薬品の効果を表す指標を生成可能な独自のディープラーニング技術を開発し、2018年4月から顧客との協創を通して検証した結果、新開発AIの有効性を確認した。

そして今回、新開発AIを活用して、医薬品の効果に影響を与えるバイオマーカーを探索する「Hitachi Digital Solutions for Pharma/バイオマーカー探索サービス」を提供開始した。

同サービスでは、まず医薬品メーカー事業者が治験などで取得した医療データの提供を受け、それらを日立のデータサイエンティストが新開発のAIを用いて分析する。そして、数百億以上の因子と数式の組み合わせパターンの中から、医薬品の効果を予測可能な、定式化がなされた指標を、バイオマーカー候補として検出して顧客に提供する。

同サービスを活用することで、顧客はバイオマーカー候補の探索における統計処理に時間を割く必要がなくなり、バイオマーカーの医学・薬学的な検証や考察に専念することが可能になる。合わせて、医薬品の奏効・非奏効を予測可能な指標や、疾病の予後を予測する指標をバイオマーカー候補として提供できるため、さまざまな患者層別化(※4)を実施する目的に使用できる。

また、同サービスで新開発AIを用いることで、人が医学・薬学的にバイオマーカー候補の有効性を判断できる分析結果を表示することが可能になるとともに、遺伝子解析のように、データのサンプル数が少なく因子数が膨大な場合でも、バイオマーカー候補を検出することができる。

さらに、複数の因子を組み合わせて計算することで得られる医学的な指標、例えば肥満を表す指標であるBMI(※5)や、腎機能を表す検査値であるクレアチニンクリアランス(※6)などを、人手に頼らずにAI自らが発見していくことも期待される。

今後、同サービスを日立が展開するIoTプラットフォーム「Lumada」の医薬品メーカー向けソリューションの一つとして展開していく。

※1 データを分析し、データに含まれる傾向を客観的に説明すること。
※2 病気の診断、治療の効果、医薬品の効果の指標として、客観的に測定され評価される特性。
※3 人間の脳神経を模したニューラルネットワークを構成する基本単位。
※4  ある疾患に属する患者を、バイオマーカーを用いて更にいくつかのグループに分類すること。それぞれのグループに適した治療法を選択することを目的とする。
※5 身長(m)の2乗に対する体重(kg)の比で計算される、体格を表す指標。
※6 血清中のクレアチニン(筋肉内にあるクレアチンが代謝した最終産物)が腎臓でどの程度排泄されるかを表す指標。(140-年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)で算出される。

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