東大と凸版印刷、5Gで仮想テレポーテーションを実現

インターネットの普及で、距離と時間を超えるような体験ができるようになった。

しかし、物理的な「体」を移動させることはいまだにできない。

現実社会では、実際にあって会話をしたり、現地で体を動かして作業をするということが重要だが、これを実現しようと思うと「テレポーテーション」する必要がある。

東京大学大学院 情報学環 暦本純一 教授は、以前からデジタル技術を使って、これまでできなかった体験を生み出すような研究をしていて、とても興味深い。

「人間拡張」と呼ばれる考え方で、

  • 知覚や運動能力の増強
  • 人間の存在の拡張
  • 能力の獲得を増強

を実現することで、今、人間ができることを大きく拡張することができるのではないかという、夢のような話だ。

技術の進化に合わせて人間の能力はどんどん拡張されていくのだ。

5Gの高速大容量を使ってできる「人間拡張」

ところで、最近世界で始まった5Gサービス。その可能性を模索するような取り組みがたくさん報じられているが、今回の発表では、自分の分身となるようなロボットを遠隔地に置き、4K映像を使ってあたかも現地にいるような体験を提供するというものだ。

凸版印刷と東京大学、IoA仮想テレポーテーション技術と5Gを活用した遠隔校外学習サービス「IoA学園」を提供開始

先日の発表では、校外学習にこの体験を使うというものになる。

暦本教授の「人間拡張」においては、幽体離脱のような人間の存在を拡張する取り組みになるだろう。

5G通信では、遠隔地にあるクルマを遅延なく操作できるくらいの低遅延性があるので、遠隔地のロボットを操作したとしてもタイムラグはほとんど感じないはずだ。

さらに、4Kの映像で体験するということだが、VRを活用すればかなりの没入感が得られるので、体験価値もあがる。

しかし、これだけであれば、単に遠隔地の映像を高速、低遅延の通信で表現しているだけなので、それほど驚きはないだろう。

ドローンで自分を俯瞰で見たり、タブレットで他人になりすましたり

実は、暦本氏は、以前からドローンを自分の後方に飛ばし、VRヘッドセットをつけて走ると、テレビゲームのように自分を俯瞰視点から見ることができるようになる、という実験も公開している。

Flying Head
参考:https://lab.rekimoto.org/projects/flyinghead/

この技術では、ドローンがきちんと人の動きに同期して追尾してくれることが重要になる。例えばランニングをしているとき、自分の少し後方、上部の位置に常にドローンが飛んでいて、カメラが後方上部から自分をとらえている必要があるからだ。

Flying Head

また、他人が顔のところにつけたタブレットに、自分自身の顔を表示し、離れた場所で会話をすると、時間の経過に従って、あたかもその人がそこにいるような錯覚が生まれるという実験も以前行っている。

この錯覚を使うと、例えば遠隔地にあるロボットにタブレットをつけ、自分の顔をリアルタイムに投影し続けると、現地の友人は自分と話しているような錯覚を感じるのだ。

要素技術を組み合わせることで人間拡張は現実のものに

5G, 4K, VR, ロボティクス, 人の認知など、様々な要素を組み合わせることで、物理的な動きや体験そのものも、距離と時間の差を超えることができるようになってきている。

初めはそれぞれの要素技術がむき出しになっているかもしれないが、実用性が分かり、一つのデバイスにまとまってくれば違和感もかなり減るはずだ。

遠隔地にいてもテレポーテーションしたような体験が可能となる日は近い。

Previous

もう議事録はいらない?日本語の書き起こし精度を試してみた

まるでスパイ映画?AIでハラスメントや不正経理を発見

Next