商店街振興のためにサッカーチームと取り組んだMaaS実証実験 ―akippaインタビュー

商店街という程良い規模の実験場

―akippaとしては、これを1つのパッケージをやってみて、例えばこういう流れを他のスタジアムなどに応用できるような形にしていく、1つのプロトタイプと捉えた方が良いのでしょうか。

横田:そうですね。今回はイベントを中心としたものでしたが、将来的にはLUUPさんのような、クリーンエネルギーで動かすマイクロモビリティサービスを使って、都市部での細かい目的地への乗り継ぎを行う実験も考えています。さらに言えば、マイクロモビリティサービスもインフラですので、投資をしてもらった結果、ビジネスとしての収益性があるよ、ということを示すような実験に取り組んでみたいとも思っています。

LUUPのような電動キックボードは設置が簡単でかつ小スペースでできるので、個人商店の前に設置してもらって、ユーザーにはそのお店で買い物をしてもらってからメインの目的地にいってもらうサービスを考える。それが収益につながれば「投資価値があるよね」と見定めてもらう、といったことを出来ればよいと考えています。

―MaaS、といえば市単位・県単位の広い話が多いですが、これは商店街という「大きくもないけれど、小さくもない」という、実証実験としてはちょうどいい頃合いの規模だったのではないでしょうか。

横田:MaaSというのはサスティナブルな取り組みです。そのためには、やはり何らかのリソースが必要だと考えています。そしてリソースとはだいたいお金だと思います。

やはり投資価値があるかないかを実感できる、見定めるということは、最大公約数的にやるよりは、最小公倍数的にやる、少ない人にとって価値が感じられるように行う方が良い。だからこそ商店街という規模はちょうど良いのではないでしょうか。

―実証実験の流れを確認します。参加時にやりたいライド方法を選択してくださいとのことだったのですけれど、メールで案内を送って申し込みのフォームみたいなものを作ってご案内した、ということでしょうか。

横田:申し込み時からパッケージとして「当日こういう風に動いてくださいね」としていました。

―そして当日、すでに駐車場は予約されている状態であり、車を降りると3つのシェアサイクル・電動キックボード・アプリによるタクシー手配の移動手段があります。

横田:3つの移動手段については商店街のなかに設置場所を用意しています。商店街のなかにシェアステーションのようなものがあって、そこから自転車やキックボードに乗っていくようなイメージですね。

こまがわ商店街での実証実験概要

―シェアサイクルや電動キックボードは通常であればアプリでQRコードなどをかざして使用しますが、今回システムは使わない、ということでした。

横田:受付は実質手作業で行います。先ほども申し上げましたように、タクシーアプリ以外はシステムの介入はほぼありません。

―自転車・キックボードはどうやって返却するのでしょうか。

横田:ヤンマースタジアム長居の近くにゴールとなる場所を用意しています。帰りはまた自転車を取りに来てもらって商店街の方に設置されたステーションの方に返してもらいます。

―非常にシンプルですね。

横田:自転車は誰もが乗ったことがあるだろうし、一番なじみがあるものとして設定しました。とにかくシンプルに実験をやりたかった、という思いがありました。

LUUPを持って行った際に商店街の方から「自転車の3倍くらい置けそうだ」だと、小スペースでの使い勝手の良さを評価してもらいました。

タクシーアプリの「DiDi」についてはファミリー層の利用に重きを置きました。基本、サッカーは家族で試合観戦に来ることが多いためです。将来のメインファンを築く意味で、ファミリー層を取り込みたい、というセレッソ大阪側の思いもあります。

―実験終了後、参加したサポーター、あるいは商店街側からはどのような意見があったのでしょうか。

横田:利用者アンケート内にある「しくみ化されたら使いたいですか」という問いについては、100%「はい」を得ることができました。5段階評価で5と4で100%。「MaaSというのを今まで考えたことがなかった」というのが70%。「こまがわ商店街を知らなかった」というのが46%。試合のある時に商店街にまた来たいか、という問いには72%。MaaSという考え方は受け入れられたかな、と思っています。

協力した商店街からは「広告塔としてやってきたけれど、まだまだやれることがあると思った」「店で提供しているコロッケサンドの売り上げはいつもより良かった」といった意見がありました。

―地域振興、そしてMaaSの浸透という当初の目的は達成されているようですね。本日はありがとうございました。