ハピクロとKLSC、HACCPに準拠した飲食店デリバリー向け衛生管理ソリューションの実証実験を開始

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響の長期化により厚生労働省から「新しい生活様式」が提唱される中、店舗内の食料提供の機会が減った飲食店によるテイクアウトやデリバリーへの新規参入が急増している。

一方でテイクアウトやデリバリーは、店舗内での飲食と比較して店内での喫食に比較して調理してから喫食までの時間が延長すること、調理後の適切な温度管理が難しいことから、食中毒をはじめとする食品衛生上のリスクが発現しやすいビジネスモデルであり、事業者にはより高度な衛生管理が求められる。

また、食品衛生法の改正により、2020年6月より原則すべての食品等事業者はHACCP(※)に基づいた食品衛生管理が義務化され、猶予期間が終わる2021年5月までに導入に向けた準備が必要となる。しかし、HACCP対応に対する金銭的・人的リソースに余裕がないことなどを主な理由として、HACCP導入企業は41.9%にとどまり半数以上の企業が導入途中または未導入の状況である。

保育園運営およびIT/IoT導入支援事業を展開する株式会社ハピクロと保健衛生に関する調査研究を行う公益財団法人北九州生活科学センター(以下、KLSC)は、飲食店のデリバリーサービス向け衛生管理ソリューションサービスを共同開発し、地元デリバリー提供事業者での実証実験を開始した。

同ソリューションは、HACCPに関する専門知識をKLSCがサポートし、ハピクロが開発済みの食品衛生管理システムをカスタマイズすることで、HACCPに基づく食品衛生管理が可能なシステムを構築した。

具体的には、IoT技術を活用して配送用バッグ・ケース内に設置した温度センサーによりバッグ・ケース内の温度を常時自動記録することで、温度データを飲食店の管理者、ドライバー、消費者がアプリで共有できるほか、危険温度帯(食中毒菌の発育至適温度帯である約20℃~50℃)にさらされた時間をチェックできる。なお、アプリは注文情報・ドライバーの位置情報も、温度データと併せて確認できる仕様を予定している。
ハピクロとKLSC、HACCPに準拠した飲食店デリバリー向け衛生管理ソリューションの実証実験を開始
併せて、地元北九州の飲食店向けに弁当等の配達サポートを提供する株式会社河村酒販と共同で実証実験を行い、システム導入による同ソシューションの効果を評価する。

食品管理の難易度がより高い上に飲食店側の衛生管理責任が長時間に及ぶデリバリー事業を対象としたHACCP準拠の食品衛生管理ソシューションの開発・事業化により、飲食店も消費者も安心してデリバリーを利用できる事業環境の創出と適切な衛生管理を付加価値とした競争力強化、飲食店の収益増への貢献を目指す。

同ソリューションの今後の展開として、2020年8月頃にネットスーパーなど小売り業での実証実験を開始、2020年度中に製品リリースを予定しており、まずは北九州市内、福岡県内を中心とした企業での導入を目指す。

※ HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法。

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