データ連携によってサプライチェーンマネジメントを実現する ーウイングアーク1stセミナーレポート

2020年7月27日、ウイングアーク1st株式会社のウェビナー「サプライチェーンから考える「データによる予測型経営」の実現解」が開催された。

本稿では、同ウェビナーでのパネルディスカッションについて紹介する。このパネルディスカッションでは、前段の講演内容から、サプライチェーンの実現性や同じデータをそれぞれの組織が見ることの重要性に関してパネリストが語った。

【登壇者】

  • ジェムコ日本経営株式会社 執行役員 収益構造改革コンサルティング事業部長/公益社団法人 全日本能率連盟認定 マスター・マネジメント・コンサルタント 栗栖 哲郎氏
  • ウイングアーク1st株式会社 Enterprise統括部 製造企画営業部 佐野 弘氏
  • IoTNEWS 代表/株式会社アールジーン 代表取締役 小泉 耕二(モデレーター)

サプライチェーンマネジメントの変化によって生じている調整コスト

ジェムコ日本経営株式会社 栗栖 哲郎氏
ジェムコ日本経営株式会社 栗栖 哲郎氏

はじめにIoTNEWS 小泉から、ジェムコ日本経営の栗栖氏に対し、「20年ほど前にサプライチェーンマネジメントという言葉を初めて聞いたが、今に至るまで進化しているのか」と質問した。

栗栖氏は、「市場からのオーダーにタイムリーにモノを提供していくという原理原則は変わっていない」とした上で、情報の精度やスピード、環境などは変わってきていると語った。IoTなどを活用し、早く高度に様々な処理ができるようになって来ている。

しかし、こうした状況の変化には良し悪しがあるという。環境やインフラが整うとその分、調整やコミュニケーションにかかるコストが増加する。上流の組織と下流の組織だったりモノを作る人と売る人、分業された組織間などでの調整が増えてしまう。日本企業がこれまでに部署ごとの個別最適を突き詰めてきた結果である。

日本企業のマネジメント層は、会議や資料作成を行うことが多いという。これは調整を行っているということだ。調整コストはない方が良い。中間プロセスや調整プロセスは今後コンピューターによって代替されていくのがあるべき姿だろう。

本来は、市場がどのようなことを求めているかを知り、自分たちの商品やサービスにその市場の要求をどう反映させていくかということにマンパワーを割いていくべきだとした。

データ連携から見えてくる企業の課題

ウイングアーク1st株式会社 佐野 弘氏
ウイングアーク1st株式会社 佐野 弘氏

続いて、小泉からウイングアーク1stの佐野氏に対し、「サプライチェーンの視点からデータ連携を見るとどのようなことが言えるのか」と質問した。

佐野氏は質問に対し、「データから顧客の状況を把握するということをよく行う」と回答した。在庫や原価のデータ、材料が工程を進みながら付加価値が与えられていくデータを見ていくと、顧客のプロセスの中で問題がありそうな部分が見えてくるという。

顧客も薄々感じていたことをデータとして確認することで、「やっぱりそうだったんだな」と実感することがある。このことから、サプライチェーンの問題もデータから見えてくると感じているとした。データを上手く可視化することで、関係部門の中で初めて共通認識を持つことができるようになり、客観的事実から改善点が見えてくる。

部署が分断されていると、同じ情報を見ているつもりでも、異なったデータソースだったということが起きる。

ウイングアーク1stは、PoCを行う際、顧客に実際の業務で取得できるリアルなデータを提供するようにお願いしているという。リアルなデータを使用することで、見える化を行った時に、デモ画面に自社で使用している型番などが表示されるようになる。これにより、他のデモと違い、話が進むことがあるそうだ。

BIツールをまっさらな画面から作成するのは大変なため、ウイングアーク1stではテンプレートを用意している。業種によっては必ずそのテンプレートが使用できるわけではないが、完成したBIツールの画面を見ることで、違うものが見たいという顧客の意見を引き出すことができるという。

同じデータは企業の中のレイヤーによって見方が変わるのか

次に小泉は、「同じデータを会社の別の階層や部署で見る時にどのような見方をしているのか」と質問した。

佐野氏は、質問に対し、「それぞれの部署で共通して確認するのは、収益性の部分である」と回答した。しかし、その収益性のデータも階層ごとに粒度があり、集積されたデータが上の階層に上がっていく。階層ごとに適したデータの粒度があり、そのデータを見ることで階層に応じた打ち手を実施していく必要がある。

製造原価を例に取っても、1つの部署で決定しているわけではなく、原価企画の段階である程度の原価が決まっていて、購買がコストダウンできるのか、生産がロスなく生産できるのか、販売が無駄なく販売できるのかといったトータルの結果が製造原価の結果になっているので、悪くなったからといってどの部署が原因だとは言い切れない。しかし、原因はどこかに必ずあるので、改善すべきポイントを見つけ出して手を打っていくことをしていかなければならないと感じているという。

栗栖氏は、サプライチェーンは、最終的に経営指標の結果が下位のオペレーションに原因があるというようにつながるべきだとし、そうしたつながりがある構造を固めてしまうことが重要だとした。構造さえ出来れば、どのレイヤーでどのデータを見るべきかということが簡単にわかるようになるが、構造を固める部分が時間がかかるという。

現場の事実を見た時に、仮設を立てて、データを活用し検証することでPDCAを回すことができるのが人間の能力として素晴らしいことだと感じているという。会社の中で、部署ごとの関係や製品ごとの関係にその考えをどう移植していくかが大切だ。デジタル化やAIの中にもこの考え方を導入することで、データをサイエンスし、楽に意思疎通できるようになるのではないかと語った。

他社とのつながりの中でのデータ連携

小泉から「自社の中でサプライチェーンを作成するためにはいくつもの障壁があることは理解した。そこから更に発展し、他社とのつながりの中でのデータ活用は現状どうなっているか」と質問した。

佐野氏は、この質問に対し、ある顧客の事例を元に説明した。その顧客では、ある電子部品が世界的に不足した時、その電子部品を買えるだけ買うという流れが起きたという。しかし、供給不足が落ち着き通常のオペレーションに戻った時に、莫大な在庫を抱えることになってしまった。

こうした事例で、サプライチェーンを構築していれば、サプライヤー側の生産計画などを把握することが可能になり、莫大な在庫を抱える必要はなくなっていたかもしれない。しかし、そこまで含めたデータ連携の事例には出会っていないという。

栗栖氏は、基本的には顧客の課題解決を行っているため、成功している事例とは遠いかもしれないとした上で、柔軟な計画変更に対し、1つの会社の中で購買と生産が連携できていない事が多く、そうすると社外でもサプライヤーとベンダーでも連携が取れないだろうと語った。

参考:このイベントの他の記事は次のリンクから見ることができます。
ウイングアーク1st株式会社のウェビナー「アフターコロナに挑む製造業。デジタルの活用で、変化に強く儲かる工場を考える2days」

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