ソニー、デュアルバンド測位で9mWの消費電力を実現するIoT・ウェアラブル機器向けGNSS受信LSIを商品化

位置情報を利用するIoT・ウェアラブル機器の用途拡大に伴い、GNSS受信LSIへの需要が高まっている。IoT・ウェアラブル機器は、地面や近距離にある建造物などからの反射によるマルチパス(※1)、手首に装着された状態での腕振りの影響など、厳しい通信環境や不安定な使用条件下においても動作させるため、測位精度や通信の信頼性確保が必要とされている。

加えて、機器の大きさの制約上、バッテリーを小型化する必要がある一方で、GNSS機能利用時において衛星信号を定期的に受信・測位するための消費電力が大きく、バッテリーの持ち時間が短いという課題がある。

ソニー株式会社は、デュアルバンド測位で9mWの消費電力を実現したIoT・ウェアラブル機器向けGNSS(全地球衛星測位システム)受信LSI「CXD5610GF」「CXD5610GG」を商品化し2020年9月より出荷を開始する。

同製品は、従来のL1帯に加えて衛星の環境が整備されつつあるL5帯信号受信にも対応し、デュアルバンドでの測位が可能だ。L5帯における新方式信号では、L1帯に比べてGNSS衛星と受信機の距離測定に使用する信号の単位が10倍細かくなる事で位置精度が向上し、衛星からの送信電力も増加するため、高精度で高感度な測位が可能となる。

また、独自のアルゴリズムによりGNSS信号を迅速かつ正確に受信することで、ウェアラブル機器の腕振りなどによる加速度がかかる条件や、移動により建物の遮蔽などで受信環境が変わる状況においても、従来品より安定した位置測位が可能となる。また、再起動にかかる時間が長いコールドスタート(※2)時でもより短時間での測位に繋がる。

加えて、独自のデジタル信号処理技術により、航空機用無線などの妨害波による性能劣化や、なりすまし攻撃などへの対策を施し、耐性性能が向上する。さらに、低電圧動作を可能にする独自開発の高周波アナログ回路技術および低クロック周波数によるソフトウェア処理を可能にするデジタル回路とソフトウェアアルゴリズムを採用し、低消費電力と高感度の両立を実現した。これにより、L1帯とL5帯での同時受信時において連続測位時電力9mWに抑えることができる。

そして、ファームウェアなどを格納するための不揮発性メモリーを内蔵したことで、外付けメモリーを追加することなく最新のファームウェアへのアップデートが可能になり、省スペース化によるIoT・ウェアラブル機器の小型化に貢献する。また、同製品内でデータ処理が完結するため、低消費電力化やアクセス速度の向上に繋がる。

ソニー、デュアルバンド測位で9mWの消費電力を実現するIoT・ウェアラブル機器向けGNSS受信LSIを商品化
L5帯における新方式信号による位置誤差改善
同製品により、電源を外部から供給できないスマートウォッチなどのウェアラブル機器や、トラッカー用途などのIoT機器における新しい商品やサービスの開発機会の拡大に貢献する。測位精度や安定的な通信が求められる、自動車向けサービスなどの用途での活用も期待できる。

なお、同製品のサンプル価格は1000円(税抜)である。

※1 マルチパス:反射などの影響で電波が複数の異なる経路を通じて届き、受信時に信号が乱れる現象。
※2 コールドスタート:現在時刻、現在位置、衛星情報などがない状態から測位を行うこと。

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