「六本木フライトシミュレータサロン」で飛行機パイロットへの道を身近に ―飛行訓練学校のFSO 益子寛氏インタビュー

シミュレータでの反復練習で実機での訓練と近い効果が得られる

「六本木フライトシミュレータサロン」で飛行機パイロットへの道を身近に ―飛行訓練学校のFSO 益子寛氏インタビュー
シミュレータ内部は実機のコックピットと同じ機器が備わっている

小泉: 実機での練習はどういった手順で進むのでしょうか。

益子: 最初は小型の飛行機からスタートします。国内外軍民問わず、基礎技術を小型機で学ぶというのは共通しているところです。

しかし、軽飛行機でもいきなり実機でやる時のコストを考えると、まずはコストの安いシミュレーターを使った方がいいというのは航空局と大学そして航空機メーカーが共同研究した結果からも明らかです。なのでシミュレーターを用意しています。

実際に空を飛びながらの訓練は非常に厳しいです。上手くできなかったら下りてきた後に復習をしてまた乗って、という反復練習を高いコストの中でやらなければならないのです。さらに、実機で訓練を行う際は訓練区域まで飛ぶ必要があるのですが、シミュレータならその場で訓練を始めることができます。また、実機では非常に危険な訓練というのもあります。

小泉: 事故が起きて堕ちてしまう可能性もありますよね。

益子: そうです。例えば「エンジンが止まった」という訓練をやるのですが、シミュレータを使って何度も繰り返し訓練することによって、実機でも問題なく対応できるようになることがわかっています。

「六本木フライトシミュレータサロン」で飛行機パイロットへの道を身近に ―飛行訓練学校のFSO 益子寛氏インタビュー
シミュレータの3方をモニターが囲み、操縦席からの風景を再現している。また本体にはモーションコントロール機能が搭載され、離陸時の振動などが再現されている。

小泉: このフライトシミュレータは結構大がかりなものに見えますが、軽飛行機用なのでしょうか。

益子: このシミュレータは軽飛行機の内部を再現しています。双発機(左右の主翼に1基ずつのエンジンを搭載した飛行機)の中でも軽飛行機に属する訓練機の内部の再現になります。これより大きな機体にはフルフライトシミュレータというものがあり、エアラインに入ってから訓練を行います。

基本的なパイロットとして必要な能力はこのシミュレータで十分つけることができるので、私たちはまずシミュレータ訓練に特化していこうとしています。

飛行機の楽しさを伝え、パイロットになる敷居を下げたい

小泉: パイロットの訓練をやってみたいなと思った人はどういう風にこの門戸を叩けばよいのでしょうか。

益子: 一度弊社に問い合わせていただければと思います。

また、この六本木フライトシミュレータサロンで「体験フライト」というコースを用意していますので、まずは楽しみながら、飛行機に親しんでもらいたいと思っています。

アメリカで飛行機にあこがれる子どもたちのように日本の子どもたちに向けて、もちろんシニアの方にもですが、正式なパイロットのライセンスではなく、シミュレータのパイロットライセンスをFSO独自に作って訓練してみませんか、というコースを作っていこうと考えています。

小泉: 本当に飛ぶわけじゃないけど、まずはシミュレーターで楽しんでもらうということですね。

益子: そうですね。こういった取り組みを通じて飛行機に興味を持つ人の数を増やして、パイロットを目指す人につなげていきたいと考えています。

小泉: 最近マイクロソフトが新しいフライトシミュレータのゲームを出して話題になっていましたし、飛行機に興味を持つ人は増えてきていると思います。

その人たちが実際にやりたいと思った時に、どうやったら飛行機が飛ばせるようになるのか。あるいは、その先でジャンボジェット機のパイロットになるにはどうしたらいいのか。なかなかイメージがつかなかったんですよね。

自動車であれば教習所に行くという免許を取る方法がわかっているのですが、飛行機の操縦に関しては専門職のようなイメージを持っているように感じます。

益子: 日本には「パイロットになりたい」と思っても敷居が高い、難しい、という意識があると思います。

でも、そうじゃないんだよ、と。飛行機も普通に飛ばせるんだよ、というのを体験してもらう。それを伝えることがこの取り組みの最大の目標です。

飛行機は墜落してしまうのではないか、とよく言われるのですが、実は操縦桿から手を離しても勝手に飛んでくれます。トラブルでエンジンが止まってしまってもしばらく考える時間があるのです。飛行機は思っていたよりも簡単で、安全な乗り物なんだなというのをよく理解していただくのはとても大事なことだと思います。こういった情報を伝えて、飛行機に興味を持った仲間を増やしていきたいと思っています。

小泉: 日本のように土地が狭いとどこで飛ばせるのかという話もあるので、そこの敷居が高いというのもあるかもしれないですね。

益子: 確かに日本は飛行場が少ないです。新しい飛行場を作るのは非常に難しいので、既存の飛行場を活用することになると思います。FSOでも下地島の方に訓練センターを用意していますので飛行機を目的に来た方には立ち寄っていただきたいなと思います。

将来的な構想としては、小さなお子さんから参加できるフライトクラブをつくって、六本木、宮古島、沖縄本島の北谷町の3か所で同じようにクラブ員として訓練ができる環境を作ろうと考えています。

また他のフライトクラブと連携をして、いろいろなところで空が飛べるような環境を作っていきたいと思っています。

小泉: 本日はありがとうございました。

体験動画

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