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スマートファクトリーの実現に既存設備を活用する新発想 ー東洋ビジネスエンジニアリング 入交氏、行司氏インタビュー(2/2)

東洋ビジネスエンジニアリング、新商品企画本部 副本部長 入交 俊行氏、同社 プリンシパルエンジニア 行司 正成氏へのインタビュー後編。データを集めて解析ツールを使った分析、簡単なツールなどをエンジニアリングしていきながら複合的価値を創出していく新製品「MCFrame SIGNAL CHAIN」の詳細について話を伺った。

長編となったので、前・後編と分かれています。
前編「シグナルタワー®で工場設備の稼働状況を可視化し、分析・改善する 東洋ビジネスエンジニアリング(1/2)」はこちら

 

MCFrame SIGNAL CHAIN について

指標の中身と稼働状況

行司氏(以下、行司) :指標をしっかり管理して改善活動に繋げていきましょうという話と、設備の稼働状況をしっかりおさえていきましょう、という2点をまず4月、5月の製品リリースに向けて作りこんでいます。そのあとにナレッジ共有に力を入れていきたいと思います。

開発途中なのでどんどんブラッシュアップしていく予定なのですが、指標管理のための代表機能としてまずはダッシュボードです。そのダッシュボードで異常を発見したり、何か変化が見られたりした時にはドリルダウンして設備ひとつひとつの状態を確認することができます。

あるいは現場に置くアンドンのような今の状況を知らせる画面もご用意しています。それについても何か異常があったときに、設備ひとつひとつの詳細を見ることができます。

もうひとつアラート機能にもこだわっていて、例えばドカ停やチョコ停の定義は各社各様だと思いますので時間や一定時間内の回数でそれらを定義して、そういった情報をしっかりとアラート化できる仕組みを用意しています。

B-EN-G 入交氏、行司氏インタビュー
東洋ビジネスエンジニアリング、 プリンシパルエンジニア 行司 正成氏

ダッシュボードの詳細

東洋ビジネスエンジニアリング 入交氏、行司氏インタビュー(2/2)
ダッシュボード画面

行司 :これがダッシュボードですが、ここではOEE(オーバーオール・イクイップメント・イフェクティブネス:設備総合効率)にこだわっていきたいと思います。OEEをブレイクダウンすると、稼働率、性能、品質になり、この3つの掛け算がトータルの指標としてのOEEです。下に設備ごとの情報が一覧で表示されます。

この稼働率の値は信号灯から取れますが、性能や品質はそれ以外から取ってくる必要があります。性能に関しては例えばPLCから取ってくる、品質はMCFrameなどのERPの品質情報をダイレクトに取ってくるなど、それぞれをうまく連携しながら指標を表現していきます。

東洋ビジネスエンジニアリング 入交氏、行司氏インタビュー(2/2)

行司 :例えば、OEEを分解した稼働率が暴れているので重点的にブレイクダウンして確認したいよね、という時には設備ごとの稼働状況を見に行くことができます。ある特定の設備に対して横のバーチャートを表示していますが、これがまさに信号灯の光り方を表しています。

例えば、黄色が段取り替え、青が通常の稼働、赤がなんらかの異常で停止している など、ぱっと視覚的にわかりやすく見えますので、現場の方には使いやすくなっています。

また、大きな停止があった場合、画面の下の方にその情報が一覧化されていて、その原因がすぐ分かります。その停止がアラート機能でお知らせされた情報も保持することができます。パトライトから取られる情報はオンオフの情報でしかないので、このアラートの原因究明には、人の知見を溜めていく必要があります。ここでは定型情報であるタグ情報や、非定型なメモが管理できますが、将来的には現場のタブレットでも情報を入力できるようにし、写真や図面なども管理できるようにしていきたいと思っています。

 
-レポートも簡単に出せそうですね。

行司 :はい、これはレポートを意識していまして、日報、週報、月報を用意しています。それぞれの用途に応じた切り口で見せることを意識していますので、データが溜まってくると色々面白いものが見えるようになり、活用の幅も広がると思います。

東洋ビジネスエンジニアリング 入交氏、行司氏インタビュー(2/2)
デモデータ

行司 :こちらは実際の稼働状況をイメージしたデモデータなのですが、明らかにおかしいところがあります。日曜の早朝に何かが起こりずっと停止されていて、月曜の朝に気づいたという状況がすぐにわかります。「ここにチョコ停が頻発しているので、これが原因だったのかもしれません」ということが時系列をさかのぼることで見えてくることも期待できます。例えば朝礼のときに全員集まってこの画面を見ながら原因を議論するような使い方も考えられます。

東洋ビジネスエンジニアリング 入交氏、行司氏インタビュー(2/2)
アンドンデータ

行司 :こちらは大きなディスプレイで現場に置いたり、事務所で現場の状況を確認できたりすることを目的にしたアンドンです。信号灯が光っている今の状況をここに表現しています。こういう情報をアラート化してメールで受信させることもできます。

他社のソリューションで足りないのは人の知見を管理していく点だと思いますので、我々はそこに特化して機能強化をしていきたいと考えています。

 
-ひとつひとつの機械を見ることができますが、工場全体の流れを見ようと思ったらどうしたらいいのでしょうか。

行司 :先ほどのダッシュボードは、特定の工場内や特定のライン内の見せ方をしていますが、これとは別途横並びに指標をみられるようなダッシュボード画面を考えているところです、横並びで比べてみてはじめて色々なことが見えてきて、改善点があぶりだされることがあると思いますので、重要なご指摘かと思います。

入交: ひとつは工場間の見え方、もうひとつは自分の工場の中の工程間、要は同じ単位で集計できる塊、我々はそれをグループと呼んでいますが、工場のグループや設備単位のグループで見ていきたいと思っています。しかし色々議論したのですが、繋げようとして、前半がプロセスで後半が加工組立となると、単位が意外と合わないのです。単位換算するのは標準でやっていくと「違うよ」と言われるかなと思いますので、ここは最小単位のデータがあるので、見たい画面から作りましょう、と。

 
-人が手作業でやっている工程もあると思うので、パトランプで解決つかない部分もあると思います。そういうところをどうしていくかもひとつ課題としてあるかもしれませんね。そういうのがだんだん肉付けされていくと、ライン単位でも見られるし工場単位でも見られるし、ラインの組み換えの前後で変わったということもわかるでしょうし、さらに工場横並びでも展開していくとなると、どうすればいいか模索しやすいですね。

入交: きっとパトライトからデータを取れない設備もあるだろうなと思っていて、その場合は必要なデータを出してくれればこちらで共通の設備管理稼働モニタリングのインフラとして提供します。

東洋ビジネスエンジニアリング 入交氏、行司氏インタビュー(2/2)

 

B-EN-Gの将来

行司 :今お話差し上げたのは、AirGRIDが信号灯を通ってモニタリングしていこうというところです。今後我々が手を広げていきたいのは信号灯以外に、PLCなどの設備データを取りこんで生かしていきたいという点です。PLCのデータは信号灯から取れるデータとは、情報の内容や時間の粒度が違いますので、今以上に面白いことができると思っています。

設備稼働のモニタリングだけだと、トータルなご支援ができないので、設備管理全般をサポートできるソリューションを考えています。まずは、設備管理の基本である点検記録をしっかりとサポートしていきます。

また、予兆管理に一歩近づくために、過去のトラブルをしっかりと人のノウハウとして蓄積していけるようにしたいと思います。その中では我々が提供しているRAKU-Padという製品と連携していきます。設備を扱っていくには、金型や刃具などの管理が重要です。金型がいつへたってくるのか、刃がいつ壊れてしまうのか、そういったところを予兆管理することで、さらにお客様の要望に踏み込んでいけるのではと思います。

金型や刃具を含む設備のメンテナンス業務はダイレクトにERPに繋がってくるところで、例えば消耗品の発注はERPと繋がるというイメージが沸きやすい例と考えています。さらに生産管理、原価管理とうまく繋ぐことでERPと設備が密に繋がって、よりお客様の管理に踏み込んでいけると思います。

 
-保守・サポートをする人たちが見るツールはお考えでしょうか。これだけのことがわかれば、もっと工場全体をメンテナンスする会社もあるので、そういうところに提供するソフトウェアを展開される予定もお考えではないでしょうか。

行司 :こういうお話をお客様のところに持ってきますと、もちろん自社の工場の改善でソリューションを見ていただけることもありますが、例えば設備メーカーさんにこういったものをお見せすると、「これって我々のお客さんの視点からすると、ここ1台1台が我々の設備で、我々が提供した設備のメンテナンスをサポートするツールとして活用できるのでは?」という視点の方が強かったりします。我々の作り手からすると微妙に違うので、今悩んでいるところです。

入交: 自社工場のメンテナンスだと、生産管理に寄るので繋ぎやすいのです。一方で、自分たちの売り先のメンテナンスをしたいというと、販売管理とCRMなどの領域に行く必要があり、そこは我々のピースとして現状あまりないのです。

ターゲットはまだこの先もありますが、トレーサビリティというと材料だとか、ロットのトレースを皆さん一生懸命しますが、私が狙っているのは作業のトレースです。誰がどういう作業したかトレースできるようになる、そういうところに勝負をかけると面白いかもしれないと思います。

東洋ビジネスエンジニアリング 入交氏、行司氏インタビュー(2/2)

 
-本日はありがとうございました。

前編「シグナルタワー®で工場設備の稼働状況を可視化し、分析・改善する 東洋ビジネスエンジニアリング(1/2)」はこちら

【関連リンク】
東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)
MCFrame SIGNAL CHAIN

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