千葉大学病院とNTT Com、「秘密計算ディープラーニング」などの技術を活用した臨床データ分析の共同研究を開始

臨床研究に用いるデータは、機密性の高い診療情報を含むため、データの収集、保管、分析などにおける高レベルな情報セキュリティの実装が必要となる。多様化、深刻化するセキュリティリスクへ対応しつつ、複数の施設との臨床研究実施など、より柔軟なデータ利活用のニーズを両立させる新たな手法の確立が求められてきた。

国立大学法人千葉大学医学部附属病院(以下、千葉大学病院)とNTTコミュニケーションズ株式会社は、「秘密計算ディープラーニング」などの技術を活用した研究に関し、2021年2月1日に「秘密計算システム、秘密計算ディープラーニングに関する共同研究協定書」を締結した。これにより、機密性の高い診療情報を含む臨床研究データを複数の施設から安心安全に収集、保管、分析を行うための情報セキュリティ環境の構築を目指す。

秘密計算ディープラーニングとは、秘匿化した情報をそのままAIに学習させて、診療補助などを行うことが可能になる技術である。この技術は日本電信電話株式会社が標準的なディープラーニングの学習処理を秘密計算(データを複数に分割し秘匿化したまま統計分析を行い、その結果のみを出力する技術)に適用したものである。

千葉大学病院は、複数の診療科で進めている臨床研究において「秘密計算システム」と「秘密計算ディープラーニング」を利用した共同研究を行う。

単一医療施設では症例数が限定される希少疾患の研究で、診療情報を含む臨床研究の機微データを他施設に対して非公開にしつつ、複数の施設が参加可能となる「多施設共同研究」の仕組みの確立に取り組んでいる。

今回、秘密計算システムを利用し、複数の施設から収集した臨床研究データが施設間で相互に秘匿された状態で分析可能か検証する。これにより、千葉大学病院の各診療科は、複数施設の臨床研究データを用いて臨床研究に必要な横断研究(※1)や縦断研究(※2)を実施する可能性が広がるとのこと。

また複数施設から収集した臨床研究データを秘匿した状態のままでAIモデルの作成が可能な秘密計算ディープラーニングを利用することで、従来の手法では時間を要していた疾患の診断時間短縮の実現を目指す。加えて、処方する薬剤の選定を補助するAIモデルを作成し、患者の状態に応じた最適な薬剤を処方することにより病状の進行を抑える研究につなげるとしている。

※1 横断研究:分析的観察研究の1つであり、ある地点で対象者の要因と結果を測定し、その関連性について評価する手法。例えば、変形性膝関節症の患者に対して、ストレッチの即時効果を検討することや、糖尿病患者の30秒間立ち上がりテストで何回立ち上がることができるかを測定することといった研究デザインがある。
※2 縦断研究:同一の対象者を一定期間継続的に追跡し、いくつかの時点で測定を行って変化を検討する研究のこと。長期にわたって経過観察を行うため、治療効果や病状の進行について確認することが可能。

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