長瀬産業とIBM、AIを応用した味覚センサー技術「HyperTaste」を化学品分析サービスに応用

化学品取引では、一般的にメーカー側にて評価された「分析証明書(Certificate of Analysis,COA)」により品質が保証されているが、分析データの転記ミスや製品ラベルの貼付ミスなどにより、分析証明書と製品の現物とが乖離しており、輸出入者や顧客側で確認が必要となるケースもある。

現状、このようなケースにおいては分析に専門機器が必要であり、且つ分析に一定の時間(約1日~数日程度)がかかるため、機器の導入コストや設置場所、またリアルタイムの分析が難しいことが課題となっている。

長瀬産業株式会社と米国IBMは、IBMが開発したAIを応用した味覚センサー技術「HyperTaste」を、主に液体向けの化学品分析サービスとして実用化する共同研究を進めていると発表した。

共同開発では、IBMが主催する異業種による基礎研究コンソーシアム「IBM Research Frontiers Institute」が研究テーマの一つとして掲げるHyperTasteに、化学品や食品素材の取り扱いに強みを持つNAGASEグループの知見を掛け合わせ、化学品分析サービスとして実用化することを目指す。

HyperTasteは、味覚成分の組み合わせを学習することで味覚をデータ化する学習型AIセンサーで、電気化学ポテンシャル(液体中のイオン分布によるセンシング電極の電圧)の変化から液体中のイオン等の成分を分析する機能を化学品の精度測定に応用する。

長瀬産業とIBM、AIを応用した味覚センサー技術「HyperTaste」を化学品分析サービスに応用
HyperTaste外観
共同開発するセンサーは、ポータブルな手のひらサイズの装置をスマートフォンに連携可能にしたもので、現場でほぼリアルタイムでの測定が可能だ。2020年1月から始まった第1期の共同研究で6つの元素をppmレベル(0.0001%)まで測定する技術は実験フェーズで確立しており、2022年1月までの第2期においてさらに多様な化学品を対象に現場での検証を重ね、数種類の元素をppbレベル(0.0000001%)まで測定できる精度に向上する。

両社は今後、2023年度中をめどにグループ会社が取り扱う化学品や食品素材の取引に活用し、将来的にグループ外にサービスとして提供することを目指す。