OKI・東京大学・三菱電機、光アクセスネットワーク「PON」のネットワークスライシング実証実験に成功

沖電気工業株式会社、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科中尾研究室および三菱電機株式会社は、総務省の委託研究「IoT機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発(JPJ000254)」の取り組みの一環として、「PON(Passive Optical Network)リソース管理・割当制御技術」を開発している。

PONは、家庭用ブロードバンド回線として最も普及している光アクセスネットワークで、多様なIoTサービスの提供が可能となる5G RANへの適用が期待されている。

一方で、5Gの機能を最大限に活用するためには、大容量、低遅延、多数接続かつ高信頼な通信サービスが要求されるが、これは大量の通信リソースを消費するだけでなく、多数のアンテナや基地局設備をつなぐ膨大かつ複雑な光回線の接続が必要となり、ネットワーク設備や運用コストの増大が課題となっている。

このほど、自動運転や動画配信、IoTセンサーを利用した通信サービスなどに合わせて通信リソースを最適化するネットワークスライシング技術(※1)(以下、PONスライシング)を開発し、実証実験に成功した。

PONスライシングは、スライスごとに動的な帯域を割当てるDBA(※2)機能(マルチDBA)と、物理的なPONの装置から必要な資源を割り当てる資源制御機能の両方を搭載することで、通信サービスに合わせた柔軟かつダイナミックな通信リソースの管理・提供を可能にした。

同実証実験では、テストベットとして構築したPONシステムから、同時に駆動する複数の論理ネットワーク(動画サービス用、低遅延サービス用)上で、実運用を想定した大容量の動画(道路模型で小型の車を走らせるなどの映像)の撮影・配信を行い、映像が乱れることなく、安定した通信環境での動画配信サービス提供が可能であることを確認した。

また、ネットワークスライシングなしでは動画配信に約3msの遅延が発生するのに対し、200µs以下の低遅延で通信できることが実証された。

OKI・東京大学・三菱電機、光アクセスネットワーク「PON」のネットワークスライシング実証実験に成功
PONスライシング実証実験のテストベット
5Gで求められる大容量、低遅延、多数接続などの機能を論理ネットワークとして切り出すことにより、多数の小型基地局を組み合わせて構築する5G無線アクセスネットワーク(Radio Access Network、以下RAN)の光配線をフレキシブルかつ簡素に実施できるほか、無駄な小型基地局やPON資源を節約し、運用コストの削減を可能にするという。

今後、同成果を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先導研究(委託)」に適用するとともに、オープンなRAN環境における光配線の資源最適化技術実現に向けて、光アクセスネットワークの仮想化技術の応用研究開発および商品化開発に活用していくとのことだ。

※1 スライシング/スライス:各種装置のハードウエアから論理機能を切り出して論理ネットワークを構成する技術。スライシングされた論理ネットワークは、ハードウエア装置に依存せず他の論理ネットワークには影響しない。
※2 DBA(Dynamic Bandwidth Allocation):動的に帯域を割当てる機能であり、PONにおける集線装置(Optical Line Terminal:OLT)がユーザー側装置(Optical Network Unit:ONU)の通信帯域を割り当てる。