IDC、2020~2027年の国内産業向け5G関連IT市場の年間平均成長率は80.3%と予測

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IDC Japan株式会社は、国内産業向け5G関連IT市場予測と、5Gに対する調査結果を発表した。

2020年3月のモバイル通信事業者による5G通信サービス(以下、パブリック5G)の商用サービス開始以降、サービス提供エリアが拡大している。また、ローカル5Gでは実証実験への取り組みも増加している。

IDCでは、2019年11月と2020年12月の2回に亘り、国内でIoT機器サプライヤー(IoT機器を提供する企業)とIoT機器バイヤー(IoT機器を利用する企業)に対して、5Gの採用や利用に関する調査を実施した。これらの調査結果の比較から、2020年の1年間で、企業の5Gに対する意識が大きく変化したことが判明した。
IDC、2020~2027年の国内産業向け5G関連IT市場の年間平均成長率は80.3%と予測
IoT機器サプライヤーでは、今後、最も重要になるネットワーク規格として5Gを挙げた比率は、2019年11月に26.0%であったものが、2020年12月には36.5%と、10ポイント以上増加した。これは、より多くのIoT機器サプライヤーが、5Gに注目するようになったことを示すものである。

一方、IoT機器バイヤーでは、パブリック5Gが今後、最も重要なネットワークになると答えた比率が15.0%(2019年11月)から9.3%(2020年12月)へと下落、ローカル5Gについては8.7%(2019年11月)から12.3%(2020年12月)へと上昇した。また、無線LANが最も重要になると回答した企業は、19.0%(2019年11月)から28.7%(2020年12月)へと10ポイント近く増加した。

IDCでは、このようなIoT機器バイヤーの意識の変化を、今後の導入増加につながるものとして、肯定的に捉えている。パブリック5Gのサービス開始前の2019年頃に、5Gに対する企業ユーザーの期待が過度に高まったものの、2020年以降、パブリック5Gとローカル5G、ローカル5Gと無線LANの優劣の比較や使い分けの議論が多く行われるようになり、企業の理解が深まったと考えられる。

またIDCでは、ユーザー企業や通信事業者、ベンダーなどに対する調査結果から、国内の産業向け5G関連IT市場の2027年の市場規模を2,106億円、2020年~2027年の年間平均成長率を80.3%と予測している。この市場には、5Gの仕様を必要とし、かつ5G活用を前提にしたITシステム(ネットワークを含む)構築/運用のためのITインフラストラクチャ、ソフトウェア、サービスに対するエンドユーザー支出が含まれる。

今後の展望として、産業分野での5Gの商用導入は2022年頃から始まり、2024年頃に本格化するとIDCではみている。現在のところ、産業分野における5Gに対する取り組みの多くは実証実験に留まっている。しかし、2022年以降、産業分野での5G規格の本命とされる5G SA(スタンドアロン)構成のサービスやデバイスなどが増加し、利用環境が整うことによって、商用導入に踏み切る企業が増えると予測される。

さらに、5Gと親和性が高い他の技術分野でも、2022年前後に照準を合わせた製品開発や規制緩和の検討が進められている。たとえば、国内では2022年にドローンの有人地帯での目視外飛行が解禁される見込みだ。また、主要なAR/VRベンダーの多くが2022年に新たなデバイスの投入を計画している。5Gと、このようなイノベーションを可能にする新たなテクノロジーの相乗作用によって、国内においても、DXへの取り組みがますます加速するとIDCではみている。

IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は「産業向け5G市場はまだ揺籃期であるものの、企業の5Gに対する理解が進み、実証実験も増加している。5G SA対応のサービスやデバイスが増える2022年以降、5Gの商用導入が増加し、2024年頃には5G導入が本格化するであろう」と述べている。