田中貴金属工業、スクリーン印刷向けの「低温焼成ナノ銀ペースト」を開発

田中貴金属工業株式会社は、スクリーン印刷(※1)用に最適化した「印刷配線用低温焼成ナノ銀ペースト」を開発し、サンプルの提供を開始した。

同製品は、プリンテッドエレクトロニクス(※2)分野において主流な工法であるスクリーン印刷において、配線の微細化や、従来よりも優れた曲げ耐性を有する配線を実現するものである。

通常、スクリーン印刷では50µm程度の線幅が印刷限界とされているが、同ペーストに適した印刷機とスクリーン版を組み合わせることで、細線印刷が難しいとされるガラスをはじめ、PETフィルム(※3)やグリーンシート(※4)などその他基材にも微細配線(30µm以下)で直接印刷が可能だ。これにより、次世代自動車向けガラスヒーター、5G向け透明アンテナなど、透過性が求められる電子デバイスの高性能化と生産性の向上に寄与する。

また、PETフィルム等の折り曲げられる有機基材に印刷した配線(印刷線幅100µm)は、折り曲げ半径0.5mmの屈曲試験において、10万回の折り曲げでも断線しないことが実証されており、フレキシブル化と同時に耐久性が求められるスマートフォンやウェアラブルデバイスなど、フレキシブルデバイスのへの適用が期待できる。

田中貴金属工業、スクリーン印刷向けの「低温焼成ナノ銀ペースト」を開発
折り曲げられる有機基材に印刷した配線
さらに、加熱温度90℃付近で焼結した配線においては、抵抗値10µΩcmを下回るなど、低温焼結タイプのナノ銀ペーストの中でも希少な低抵抗化を実現している。
田中貴金属工業、スクリーン印刷向けの「低温焼成ナノ銀ペースト」を開発
ガラスへの直線パターン印刷
田中貴金属工業、スクリーン印刷向けの「低温焼成ナノ銀ペースト」を開発
グリーンシートへのパッケージパターン印刷
同製品を用いることで、電気自動車等の普及によるニーズが高まると予測されるガラスの曇りを防ぐための微細配線によるヒーティング技術、ヘルスケア関連のウェアラブルデバイス、景観を損ねない5G向け透明アンテナなど、IoT社会実現に向けた、様々な電子デバイスへの寄与が期待できる。

田中貴金属工業は、2022年内に同製品の量産開始を目指すとしている。

※1 スクリーン印刷:プリント配線板や電子部品、フラットパネルディスプレイ、自動車メーターなどの製造工程などに用いられる、エレクトロニクス分野では必須の印刷工法。
※2 プリンテッドエレクトロニクス:機能性インクと各種印刷技術を用いてガラスや高分子製の基板上電子デバイスを製造する技術。有機ELディスプレイ、ウェアラブルデバイス、センサー、デジタルサイネージ、電子ペーパーへの活用など、IoT社会を実現する基盤技術として期待されている。
※3 PETフィルム:ポリエチレンテレフタレート樹脂。耐熱性や強度に優れた高分子フィルムであり、液晶テレビなどの表面保護やノートPCなどのバックライト用反射フィルム、ウェアラブルデバイスの基材として使用される。
※4 グリーンシート:回路基板として用いるセラミックス基板で、柔軟性のある未焼成状態のシートを指す。