久保井塗装株式会社は、工業塗装事業者が塗装現場のノウハウを投入して工業塗装工場の製造プロセスを受注から出荷・在庫までトータル管理できるIoTサービス「KCW-CMS」を開発し、トライアルユーザーの募集を開始した。
KCW-CMSにはスプレー&パウダー塗装用と電着塗装用の2種類があり、主な機能は以下の通り。
- 塗料の管理(発注・在庫管理)
- 被塗物の管理
- 塗料調合の管理
- 受注管理と生産計画の管理
- 手順書の管理
- 検査記録の管理
- 出荷・在庫の管理
- ハンガー管理(電着塗装専用機能)
- レーン管理(電着塗装専用機能)
塗料の製造日、検収(入荷)日、有効期限、製造ロットを缶ごとに固有のQRコードを割り当てた固有ラベルを貼ることで、保管場所や残量までを一元管理できる。使用する製品と塗料在庫を紐づけすることができるので、生産計画を立てるときに残量をパソコンで確認することができ、手配漏れをなくし、手間のかかる在庫塗料を探す作業を削減する。また、塗料ディーラーへの発注票も作成することができる。
社内製造または外部から入荷した被塗物(製品素材)を、梱包ごとにQRコードで管理または一括管理する。受注を入力するときに、被塗物の在庫状況が確認できる。
主剤・硬化剤・シンナーなどの塗料調合の配合比を予め設定しておくことで、システムと連動した電子天秤を使って配合ミスのない塗料調合が可能になる。万一、配合を間違えそうになった際も、操作画面に塗料間違いの警告を発するよう設計されているため、ポカ除けになる。過去の調合履歴も簡単に参照できる。
また、技術者が蓄積した温度・湿度等の季節変動への対応ノウハウや、トラブル発生時の対策、品質工学的実験で得られたノウハウも、バリエーションとして登録しておくことができるので、季節対策や属人ノウハウの共有化ができるようになる。
顧客からの受注情報を入力することで、在庫している塗料や素材(被塗物)の過不足が把握でき、ダッシュボードで簡単に作業の優先順位を把握することができる。また、生産計画を担当者に割振ることで、業務指示をスムーズに行えるようになる。
冶具づけやワイピングなどの塗装前準備、塗装作業のやり方や注意点、検査の基準を、写真付の作業標準書、工程品質管理表、検査基準書として作成することができ、それらはタブレット端末や塗料調合操作用のパソコンで作業者がすぐに参照できる。
品質検査担当者が、検査結果をタブレット端末のタッチパネルから入力していくことで、現場が品質状況を数値で把握し、すぐに対策指示を出せるよう、リアルタイムに不良率を集計・表示できる他、管理PCから推移でも把握できる。検査の項目は、発生しやすいキズ、スケ、ブツ、ゴミが標準項目で、その他の任意項目を設定することができ、複数の品質検査を設定できる。また、上長承認機能も拡張できる。
完成品の出荷ラベル(現品票)を作成できる。また、品質検査で良品となった数量から出荷ラベル分を差し引いた数は集計され、受注時に完成品在庫数として表示される。さらに、出荷場で出荷ラベルのQRコードを読み、計画に対する出荷もれを予防できる。
ハンガーに個別の耐熱QRコードシールを貼り、レーンに設置したQRコード読取カメラの前を通過した回数でハンガーの使用回数をカウントして、管理画面から設定した使用上限を超えるとき、超過したものを知らせる。この機能により、ハンガーを剥離するタイミングが正確に把握できるようになる。また、ハンガーの種類と取り付ける製品の種類を紐づけて管理することができるため、取付間違いを防止できる。
工場内にある塗装レーンについて、設置されているQRコード読取カメラを登録しておくことで、レーンに流れているハンガーをシステムが認識するので、カメラからレーンの取り出し口までの距離を設定しておくことで、取り出し口で「次に出てくる製品の種類」がわかるようになり、段取りがしやすくなる。また、ハンガースピードを変更しても、ハンガーの通過スピードから速度を割り出して表示できる。
KCW-CMSを導入することで、日常業務において塗料調合等のヒューマンエラーを防止できるほか、塗料や素材の手配もれ防止や、在庫塗料を探すロス時間の削減、属人ノウハウの共有化(会社ノウハウ化)ができ、技術継承がスムーズになるなどのメリットが挙げられる。
なお、KCW-CMSのソフトウェアは経済産業省が監督するIT補助金2021の対象として承認されている。
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