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東芝、再生エネアグリゲーション向けの「電力市場取引戦略AI」を開発

国内では、カーボンニュートラルへ向けて、2012年より導入されている再生可能エネルギーの固定価格買取制度であるFIT(Feed-in-Tariff)制度から、固定価格ではなく、卸市場などにおいて市場価格で売電したとき、その価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せするFIP(Feed-in-Premium)制度が、2022年度に導入される予定だ。

FIP制度の活用にあたり、電力市場取引では、再エネ発電事業者が、発電量の変動によるインバランスリスクと、市場での価格変動などのマーケットリスクを管理して収益を確保するニーズが高まってくると予測されている。

そのためには、複数の小規模再エネ発電事業者による再エネ電源を束ね、電力市場における最適な売電計画を実行する再エネアグリゲーターが必要だとされているが、複雑な市場取引を、直感や経験に基づき行うことは困難なため、AI技術の活用が期待されている。(トップ画参照)

そうした中、株式会社東芝は、再生エネアグリゲーション向けに、電力市場取引における事業者の戦略的取引を支援する「電力市場取引戦略AI」を開発した。

「電力市場取引戦略AI」は、東芝独自の予測技術と、予測データや過去データから多数の将来シナリオパターンを自動生成し、考慮すべき複数のリスクを条件に最適化問題としてモデル化した新たなアルゴリズムが特徴だ。

東芝、再生エネアグリゲーション向けの「電力市場取引戦略AI」を開発
「電力市場取引戦略AI」の概要図。

具体的には、発電量と市場価格をそれぞれ予測した上で、双方の変動の組み合わせによって発生する、取引機会損失などのマーケットリスクや、インバランスなどのリスクを算定する。

マーケットリスクは、金融分野で用いられるリスク尺度の一つであるCVaRで評価し、インバランスリスクを制約条件として最適解を導き出す。

CVaRによるリスク評価は、当日の各予測データと、過去の予測値・実績値で構成される過去データから、当日発生しうるパターンを多数生成した上で、これらのパターンを組み合わせたシナリオを用いて計算式で表す。

開発されたアルゴリズムは、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場と時間前市場に対して、実需給前日のスポット市場入札のタイミングで、両市場への売り入札量の最適な割合を算出する。これによりアグリゲーターは、算出された結果に基づいて両市場への売り入札量の割合を変更する、戦略的取引の意思決定を行うことが可能となる。

今後は、東芝ネクストクラフトベルケ株式会社および東芝エネルギーシステムズ株式会社が参加する再エネアグリゲーションの実証実験を通じ、「電力市場取引戦略AI」の実需給前日のスポット市場入札のタイミングにおける、スポット市場と時間前市場での戦略的取引の有効性を検証する。

さらに、今後市場の活性化が想定される当日の時間前市場での取引や、容量市場・需給調整市場に対応した戦略的取引を目的とした機能の拡張を目指していくという。

なお、「電力市場取引戦略AI」は、東芝ネクストクラフトベルケ株式会社および東芝エネルギーシステムズ株式会社が参加する経済産業省の再エネアグリゲーション実証事業において、12月1日から開始した実証実験で活用されている。

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