[独断と偏見] 2021年のDX的重要トレンド トップ3

第一位:サステナビリティ

2021年10月31日よりロンドンで開催されていた、COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)。脱炭素を目指していたが、これから発展したいと考えている国を中心に反対され、石炭や化石燃料を使った火力発電が主たる電力供給源となっている日本も、「化石賞」という不本意な賞をもらう結果となった。

化石賞は、気候変動に取り組む世界130か国の1500を超えるNGOのネットーワーク「CANインターナショナル」が、温暖化対策に「消極的」だった国に与える不名誉な賞だ。

現実的に言って、原子力発電に消極的であるが故に、また、再生可能エネルギーだけでは現状の電力を賄えないという実情があるが故に、止むを得ない話だともいえるわけだが、地球レベルの温暖化に対する対応策としては、パリ協定以降、世界中が産業革命以降の気温情報幅を1.5度以下に抑えようとしているのに対しては対応できていないという事実は変わらない。

世界中が、脱炭素に向かう中、日本は今後どうなるのだろうか?COP26で岸田総理が述べた、「2050年にはカーボンニュートラル」という目標に関しても、具体的な政策を今後打ち出さないといけない。

日本の脱炭素として個人的に注目しているのは、クルマ産業におけるEV化だ。EV車を走らすにしても発電しなければならないわけで、クルマがいくらクリーンでも、トータルのCO2排出量が多ければ、全体としては意味をなさない。

ここで、世界の国の脱炭素状況を見ていこう。

世界の電力供給源とEVの関係

まず、EV先進国のノルウェーでは実に7割の車がEVで、電力供給も9割が水力発電という状況だ。

ノルウェーの電源供給源
出典:iea IoTNEWSでグラフ作成とコメント追加

一方、日本では1%にも満たないEV化率で、石炭、石油、天然ガスという化石燃料が7割以上を占め、再生可能エネルギーは2割程度という状況だ。

日本の電源供給源
出典:iea IoTNEWSでグラフ作成とコメント追加

ちなみに、自動車業界のライバル、ドイツの場合、EV化率は10%程度だが、電力発電は4割が再生可能エネルギーだ。さらに、2038年までに石炭火力発電を廃止する方針も打ち出している。

ドイツの電源供給源
出典:iea IoTNEWSでグラフ作成とコメント追加

こういう状況を見ると、一概にEV化すればよいということではないという事実に気づくはずだ。我々ができることは何があるのか、真剣に考え行動していかなければいけない。

現在、脱炭素に向けた取り組みとして、炭素排出量をセンサーで計測するという動きが盛んになってきている。CO2の流通状況を可視化するソリューションも登場している。

サステナビリティという意味では、脱炭素だけでなくもっとたくさんの解決すべきテーマがある。そこに対するデジタル技術への期待は大きい。

企業経営においても、ESG経営(Environmental, Social, and Corporate Governance)と呼ばれる、環境や社会に配慮したガバナンスが注目される中、産業界を支える企業は、どのように脱炭素やサステナビリティを実現していくのかということについて、お題目だけではなく、具体的な計測方法や、対応状況の可視化を急ぐ必要があるのだ。

勝手な予測2022
  • 脱炭素という不可避な流れにさまざまなソリューションが登場するかもしれない
  • ESG経営がバズワードとなりそれを可視化する動きが本格化するかもしれない
  • 脱炭素以外のサステナビリティを意識した取り組みが評価されるようになるかもしれない

2022年に向けて

独断と偏見でベスト3を発表させていただいたが、みなさんの中のベスト3は何だろうか。

IoTやAI、DXというテーマは、要素技術の話題やプラットフォームなどの話題から、具体的なビジネスのシーンのデジタル活用、ひいては社会問題の解決といった話題に移ってきている。

ペーパレスや業務の自動化からはじまり、SaaSの活用、インターネットでのデータ連携など、さまざまな場面でデジタルの活用が進みはじめている。建設業界や製造業、など、さまざまな産業でビジネスプロセスを横串にするようなプラットフォームも登場し出している。

2022年は、2020年以降本格的に動き出したDXの潮流が、中小企業も巻き込んで大きな動きを見せるようになることが想定される。

デジタル社会を前提として、既存ビジネスを改善し、生産性を向上させるという流れや、さまざまな要素技術の発展を組み合わせたことによって実現できるイノベーションなど、コンセプトだけでなく具体的な動きがより一層加速していく一年となりそうだ。

IoTNEWSでは、2022年はこれまで通り、DXに関わる具体的な取り組みを取材し多くの事業者の役に立ちたいと思うことは変わりないが、2021年にスタートした「DX人材」というテーマや、2021年のトピックとなった、「サステナビリティ」や「デジタルガバメント」といった領域についても、深掘りしていきたい。

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