AIoT のパワーを解き放て―― AIとIoTを統合したAIoTを今すぐ導入すべき理由とは?

「個」がトランスフォームできる仕掛けや仕組みを構築する ―富士通岡田氏・伊藤氏インタビュー

富士通は、2019年6月より時田隆仁氏が代表取締役社長に就任。経営方針説明会では、「IT企業からDX企業への変革」を表明しており、そこから大きな変革が起こっている。

例えば、システムインテグレーター系のグループ会社の統合・再編や、全社DXプロジェクト「Fujitsu Transformation」(以下、フジトラ)の立ち上げ、DXを実現する新会社の設立など、様々な新たな展開をしている。

そこで本稿では、富士通が大きく変革する最中、どのように人材育成や組織改革を推進しているのか、フジトラで行われている取り組みを中心に、富士通株式会社 ビジネスマネジメント本部 人材開発部 統括部長 岡田順二氏、Employee Success本部 Engagement&Growth統括部 組織開発部 部長 伊藤正幸氏にお話を伺った。

全社横断を実現するための組織体制

富士通の全社DXプロジェクト、フジトラでは、「経営のリーダーシップと全社横断の実行体制」、「様々なフレームワークの導入・展開」「データドリブン経営(One Fujitsuプログラム)」「VOICEプログラム」といった、4つの大きな柱で構成されている。

その中でも特に「人の変化」にフォーカスが当たっているのが、「経営のリーダーシップと全社横断の実行体制」と「様々なフレームワークの導入・展開」 だ。

「経営のリーダーシップ」では、経営層と現場及び部門横断を行えるよう、社内の体制が大きく変わっている。

具体的には、代表取締役の時田氏をはじめ、CEO、COO、CFO、CDXO、CIO、CHRO、CMOといった経営層が、ステアリングコミッティという運営委員会を形成し、全体の変革を統括している。

「個」がトランスフォームできる仕掛けや仕組みを構築する ―富士通岡田氏・伊藤氏インタビュー
「経営のリーダーシップと全社横断の実行体制」を表した概要図。

そしてDXをデザインし、オフィスの役割を果たす「DX Designer」が配置され、各部門には「DX Officer」というリーダーを配置している。これにより、各DX Officer同士が連携したり、DX Designerやステアリングコミッティと連携して共に課題を解決したりと、タテ・ヨコの横断が円滑に進む構造を構成している。

こうした組織形態への移行は、顧客のニーズの変化がきっかけだったという。

岡田氏は、「以前はお客様の要望に対して、高い品質で実行していくという、営業とSEで業務を進めていく形ができあがっていました。

しかし最近ではバイネームで案件を請け負うことが増えてきて、お客様の意思決定に基づくものだけでなく、入り込んでビジネス変革を担う役割が増えてきました。そうなってくると、業種に囚われず、その都度的確なエコシステムを構築し、別業種のナレッジを組み合わせながら解決策を提案する必要があります。

そこでまずはフロント人材の強化ということで、2020年10月より約8000名の旧営業職を、ビジネスプロデューサーとして変革するプログラムを行っています。お客様に入り込んで課題を見出すため、実践型のリスキリング(再教育)、アップスキリング(スキル向上)教育を実施しています。」と、縦割り構造からの脱却の必要性を述べた。

また、伊藤氏は、「デジタルスキルも必要ですが、それ以上に富士通自身、社員自身がトランスフォームしていく能力を高めなければならないと思っています。」と、DXの「X」によりフォーカスしていると語った。

トップから現場まで、パーパスを彫り出し実行していく

こうしたトランスフォームを実現するために必要なのが、富士通社員一人一人の意識や行動だ。

そこでフジトラの2つ目の柱である「様々なフレームワークの導入・展開」では、個々人がパーパス(存在意義)を掲げ、デザイン思考やアジャイルなどのフレームワークを活用して、自身の変革を行うことができる企業カルチャーを目指している。

その中で、現場社員の変革を行うための並走プログラム、「exPractice」(エクスプラクティス)という取り組みを行なっている。

これは、対話からパーパスを言語化し彫り出す「パーパスカービング」を起点に、「デザイン思考」「アジャイル」「データサイエンス」といったフレームワークを活用し、一人一人が次の革新へと繋げていくプログラムだ。

「個」がトランスフォームできる仕掛けや仕組みを構築する ―富士通岡田氏・伊藤氏インタビュー
「exPractice」で採用されているフレームワーク。パーパスカービングを起点に自身のパーパスを彫り出し、次のフレームワークへと派生している。

これに対し伊藤氏は、「昨今では、お客様に課題があり、それを解決するという形ではなくなってきています。そうした『答えのない世界』で必要になってくるのが、自分自身で問いを立てる力です。

そのためにはひとりひとりがパーパスを持ち、富士通のパーパスと照らし合わせた上で、どういった価値を提供できるかを考えることが重要です。そして価値提供の実現のためにデザイン思考やアジャイルを活用していきます。」と、「exPractice」の重要性について触れる。

また、この「exPractice」を経営層向けにリ・デザインした「TOP FIRST」というプログラムを、常務以上の経営会議メンバーが実際に取り組んでいるという。そしてその取り組みを公開しており、社員は誰でも経営層の掲げたパーパスや、取り組んだ内容について見ることができるのだ。

こうしたトップコミットメントを見せることによって、社員への意識改革及び浸透を促している、と伊藤氏は語った。

実際に岡田氏も、自らがSEという前職から自身でレールを敷き変え、現在人材開発を行っている。

「自分の経験やノウハウ、パーソナリティを活かし、会社や社会に貢献することができることが何かを考えました。SEというキャリアを続ける選択肢もありましたが、ジョブにマッチするのであれば、学ぶ機会があり、挑戦できるということを、身を持って示すためにも人材開発部門への転身を決めました。」(岡田氏)

チャンスとチャレンジを生み出すジョブ型人事

富士通では2020年4月より幹部社員については、岡田氏のように、ジョブチェンジをすることができるよう、ジョブ型人事制度を導入している。

ジョブとは、売り上げなどの定量的な規模の観点に加えて、レポートライン、難易度、影響力、専門性、多様性などの観点から、職責の大きさ及び重要性から格付けが行われる。

新任の幹部社員に関しては、現在600ほどあるポストに対して全て手挙げ制で行っているという。

また、2020年10月より一般社員も対象としたポスティング制度を開始し、グループ会社も含めて募集されるポストへ自由に応募することが可能になった。

これに対し伊藤氏は、「つまり、ポストにチャレンジする際には、準備ができている状態でなければならないということです。以前であれば、今いるメンバーの中から職場が推薦するという形で登用を行い、新人課長研修を受ける、という流れでした。

しかし今は、ジョブにマッチするのであれば、極端に言えば入社2年目以降、誰でもチャレンジできるという世界に変わっています。」と、自分で決めて行動するという責任を求める一方、チャンスは誰にでも用意されているというポジティブなメッセージを述べた。

また、伊藤氏は、ジョブの定義にもこだわりがあると言う。

「ジョブというのは、現在の状態を維持するのではなく、担当者がいかにそのジョブの価値を高めていくかが重要です。ですので、あえてジョブをきっちりと決めていません。

現在のポストに当てはまるかどうかということよりも、どのように自身の能力で価値提供をしていくか、を語れるかが大切です。」と、会社自体が成長するためには、個々人が成長し、ジョブの価値を高めることが不可欠だと語った。

こうしたジョブ型人事に伴い、教育に関しても階層ごとの研修ではなく、自分で選択し、必要なものを必要な時期に受けることができるという。

つまり、「人材育成」や「教育」という考え方ではなく、機会を提供してチャレンジしてもらい、それに伴いフォローアップを行っていく。敷かれたレールの上を走るのではなく、向かいたい方向へ向けて、自身でレールを敷きながら走っていくことが求められているのだ。

現在は岡田氏が述べていた旧営業職向けのプログラムを進めているが、今後はエンジニア向けや顧客向けをはじめ、様々な領域ごとに専門知識や資格、実践現場などを用意した教育プログラムを展開していく予定だ。

「会社」「人」「施策」、流れを止めずに進化し続ける

今後の展開や展望を伺うと、岡田氏は、「日々新たな施策が生まれては軌道修正を繰り返して、方向性も刻々と変わっています。」と、現在試行錯誤している状況だとした上で、

「まずは半年や1年といった短期的なスパンで、一人一人がトランスフォームし、活躍できる場を作り出すことを追求していきたいです。そのためにも全社員がリスキル、アップスキルし続けるということに尽きます。」と、一人一人の意識をトランスフォームすることで、会社全体を変えていくという意気込みを話した。

伊藤氏は、「全社員一人一人に、『富士通でパーパスを実現したい』と感じ、選んでもらえる会社にしていきたいです。今後、日本企業にジョブ型の導入が更に進んでいくと、人材の流動性は高まる一方だからです。

そしてその流動化の流れを止めるのではなく、流動化の真ん中に富士通が位置し、常に良い人材が集まり、そして社会に出ていけるような、良い循環を生み出す魅力的な会社にしていきたいと思います。」と、岡田氏同様に人が資産だとした上で、会社の魅力を打ち出していきたいと述べた。

富士通ではこんな人材を募集中

2022年1月20日時点での募集要項です。詳細な最新の情報はコチラからご確認ください。

企業名

富士通株式会社

募集職種

データサイエンティスト

仕事内容

  • 様々な業種のお客様(社内含む)へのデータサイエンスに基づく顧客データ分析・プロトタイプの開発
  • スマートヘルスやスマートシティなどにおける社会課題を解決する、新たなビジネスの立ち上げ・拡大に貢献するコア技術の研究開発

応募資格

必須要件

  • 技術仮説立案、データ分析、アルゴリズム考案・実装、検証などの研究開発経験
  • ソフトウェア開発経験3年以上(言語:Python, JS, Java, C++など)

歓迎要件

  • 顧客への製品・サービスの提案、実証などフロントに立って対応した経験
  • データ分析して、データの価値や課題を明らかにした実践経験
  • 行動科学、行動経済学、心理学、教育学などの分野の学習や、業務で活用した経験お客様のビジネス課題をデータ分析・機械学習に基づいて解決した経験
  • 1TBを超えるデータ量を対象としたデータ分析経験

求める人材像

  • データ分析だけでなくお客様ビジネスへの付加価値をイメージできる方
  • お客様(社内含む)からのヒアリング等で業務課題や保有データを明らかにするコミュニケーション能力を有する方
  • 分析結果から、課題を解決するための業務の最適な「やり方」を提案し、実行できる方

雇用形態

正社員

給与

経験・能力を考慮の上決定。
賞与年2回(6月、12月)

福利厚生

通勤費補助、団体保険制度、ファミリーアシスト給付(家族手当)、住宅支援、カフェテリアプラン、従業員持株会、財形貯蓄、企業年金制度、確定拠出年金制度、各種保養施設、他

勤務地

首都圏エリア(川崎、蒲田 他)

勤務時間

8:45~17:30(フレックスタイム制[コアタイムなし])

休日・休暇

完全週休2日制(土曜日、日曜日)、祝日、年末年始、特別休日(年間休日124日[2021年度])

富士通の人材募集ページ

https://fujitsu.recruiting.jp.fujitsu.com/career/

応募者の登録フォーム

富士通採用ページに遷移します。現在の募集内容については、こちらのページから確認し、ご応募ください。

 

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