NTT東日本、IoT向けWi-Fi規格「IEEE802.11ah」を活用して「スマート畜産」の普及に向けた無線通信環境の構築実証実験を開始

近年の畜産経営は、配合飼料価格や生産資材等の価格の上昇、生産管理を担う労働力不足、後継者確保問題など、経営を取り巻く環境は依然厳しい状況にある。国産の牛豚肉・生乳に対する購買ニーズの高まりから、飼養規模拡大の経営意欲も高まる反面、家畜衛生対策、優良品種の確保による生産性の向上、担い手の確保、畜産クラスター事業等の活用による投資資金の確保などが新たな経営課題となっている。

神奈川県内の畜産業を営む人からも「飼育環境管理」「飼育牛・豚の健康状態把握」等に対する課題感は顕在化しており、ICT技術を活用した「スマート畜産」普及に期待が寄せられている。

従来のICTを活用した仕組みでは、大規模なシステムの導入や豚舎の建て替えが必要となるケースも多く、莫大な金額の投資が条件になると、中小規模の養豚農家へのスマート畜産普及は非現実的なことから、日本電信電話株式会社 神奈川事業部(以下、NTT東日本)では、スマート畜産普及に向けて、既存設備でも容易に導入が可能なシステム構成を基本に、畜産現場での多様な実証実験を行っている。

しなしながら、畜産現場は広い土地の中に飼育舎が半屋内になっているケースも多く、雨風により土埃が巻き上がる事象や清掃により水が撒かれる事象、ねずみによるケーブル破損等も想定されるため、現地に設置する機器の耐久性・配置や配線ルートは重要な要素になっている。

日本電信電話株式会社 神奈川事業部(以下、NTT東日本)は、日本電信電話株式会社 アクセスサービスシステム研究所(以下、NTT AS研)の協力を得て、畜産現場でプラチナバンドのIoT向けWi-Fi「IEEE802.11ah」の活用有無を検証する実証実験を開始した。神奈川県内で畜産業を営み「あつぎ豚」等を生産している有限会社臼井農産と「相州牛」を生産している株式会社長崎牧場のフィールドを活用し実施する。

IEEE標準規格802.11ah(Wi-Fi HaLow)は、920MHz帯等1GHz以下の周波数を利用する通信手段のひとつで、特にIoTの通信システムとして様々な分野で活用が期待される新しい種類のWi-Fi規格である。端末・アクセスポイント・クラウドまでエンドエンドで利用者が自由にネットワークを構築できる。また、画像や映像の送受信にも活用ができる数Mbps程度のスループットであることも特長だ。
NTT東日本、IoT向けWi-Fi規格「IEEE802.11ah」を活用して「スマート畜産」の普及に向けた無線通信環境の構築実証実験を開始
今回の畜産現場において、広域かつ建屋が屋外に並ぶ環境で、最大距離が数100m~1kmのIEEE802.11ahを使用することにより、カメラやセンサなどのモニタリング機材を設置できるエリアを大幅に広げることができる。また、従来のWi-Fiと比べてカバーエリアが広がるため、中継器や無線LAN親機を減らすことが可能で、コスト低減に繋がる他、カメラやセンサの追加が容易になる。

さらに、従来のWi-Fiと同様にIPベースで動作するため、IP通信機器に対する親和性が高く、従来の機材をそのまま活用可能なので導入しやすいほか、セキュリティは従来のWi-Fiと同様にWPA3を使用するため安心できるとのこと。

従来の実験は、端末の最大性能に着目して実施していたが、同実証実験では、将来の電波法令改正における技術的条件(送信出力・送信時間率等)を見越したパラメータを適用し実用性を確認して行う。また、NTT AS研の技術による伝送の安定化技術を適用することで、11ahを運用する上で想定される法令や無線通信特性を考慮した運用パラメータ(送信時間率等)の最適化技術を確認する。
NTT東日本、IoT向けWi-Fi規格「IEEE802.11ah」を活用して「スマート畜産」の普及に向けた無線通信環境の構築実証実験を開始

NTT東日本、IoT向けWi-Fi規格「IEEE802.11ah」を活用して「スマート畜産」の普及に向けた無線通信環境の構築実証実験を開始
IEEE802.11ah送受信機(アンテナ、RaspberryPi、11ah用無線モジュール、PCで構成した実証用試作機)
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映像・音声データ送受信機器(オランダ製:Amaryllo Pro)
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AIカメラPIGI(体重・体格計測)(株式会社コーンテック:PIGI端末)
NTT東日本、IoT向けWi-Fi規格「IEEE802.11ah」を活用して「スマート畜産」の普及に向けた無線通信環境の構築実証実験を開始
実証フィールド場所・機器設置場所イメージ(臼井農産)
NTT東日本、IoT向けWi-Fi規格「IEEE802.11ah」を活用して「スマート畜産」の普及に向けた無線通信環境の構築実証実験を開始
実証フィールド場所・機器設置場所イメージ(長崎牧場)