IDC Japan株式会社は、国内産業用ネットワーク機器市場予測を発表した。これによると、2021年の国内産業用ネットワーク機器市場は、成長に急ブレーキがかかった2020年から反転し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大前の2019年を上回る24.5%の成長を達成した。
工場、プラント、輸送機械といった一般的なオフィスとは異なる環境で用いられ、耐環境性能の高い産業用ネットワーク機器市場は、産業用イーサネットスイッチ、産業用ルーター、産業用無線機器で構成されている。いずれの製品分野も成長しているが、中でも産業用無線機器市場は、前年比73.8%増と大きく伸びた。同市場を構成する産業用無線LANは、タブレットやPCの活用による現場のデジタル化やペーパーレス化が継続的に進む中で需要が増加している。
また、ワイヤレスバックホールの需要も堅調で、広大な敷地やケーブルを設置するのが困難な環境における無線によるネットワーク接続や、メッシュネットワーク構築といった用途に加えて「動くモノ」の無線化にもワイヤレスバックホール製品が寄与している。
2022年以降も、製造業を中心にデジタル化やIoTの着実な進展、そしてDXの推進を原動力として、国内産業用ネットワーク機器市場は成長を続けるとIDCではみている。2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は5.9%と予測している。
製品分野別で見ると、製造現場における無線ネットワークの活用と「動くモノ」のIoT化は、産業用無線機器の市場を大きく押し上げている。産業用無線機器市場における同期間のCAGRは23.6%になるとIDCでは予測している。また、生産機械を始めとする「動かないモノ」のネットワーク化/IoT化においては、速度や安定性、導入の容易性からイーサネットが最も有力なネットワーク技術といえる。国内産業用イーサネットスイッチ市場は、2021年~2026年のCAGRで3.2%と着実な成長を見込んでいる。
製造業を始めとする多くの企業が全社的取り組みとしてDXを推し進めており、現場のネットワーク化、デジタル化もその一部と位置づけられている。
IDC Japanのグループディレクターである草野賢一氏は、こうしたDX推進体制において「生産管理部門だけでなくIT部門やDX推進部門もOT(Operational Technology)ネットワーク構築に関わるステークホルダーであると産業用ネットワーク機器ベンダーは改めて認識する必要がある」と述べた。
続けて「単に生産機械をネットワーク接続するだけではなく、DX実現に必要なデータ活用によってセキュリティリスクをいかに低減できるかという視点で、これからのOTネットワークを各ステークホルダーに訴求することが求められる」と述べた。
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