IDC、2021年~2026年の国内IoT市場におけるユーザーの支出額は年間平均成長率9.1%で成長と予測

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IDC Japan株式会社は、国内IoT市場における産業分野別/テクノロジー別の市場予測を発表した。国内IoT市場におけるユーザー支出額について、2021年の実績(見込み値)は5兆8,948億円であり、その後、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)9.1%で成長し、2026年には9兆1,181億円に達するとIDCではみている。

IoT市場を産業分野別の観点で見ると、2021年時点でインダストリー分野のIoTにおいて支出額が多い産業分野は、組立製造、プロセス製造、官公庁、公共/公益、小売、運輸であることが分かった。

製造業の支出額が大きい理由として、国内GDPに占める製造業の割合が大きいことや、製造業向けの政府の支援施策が目立つことに加え、生産プロセスのスループット向上、最終製品の品質レベルの監視、生産に関係するリソースの最適化、エネルギーコストの削減、事業の持続可能性目標の達成、コンプライアンスへの柔軟な対応、生産設備のリモート診断/予知保全、障害発生時の原因究明といった幅広い用途で活用が進んでいることが関係している。

また、社会インフラの老朽化対策や交通システムの高度化施策の拡大、スマートグリッドに対する支出の継続的な増加、サプライチェーンをまたぐ形でのIoT活用の広がりなどが、これらの産業の支出額を押し上げている。さらに、そうしたインダストリー分野のIoTだけでなく、個人消費者のIoT支出額規模も、スマートホーム(オートメーション)、スマートホーム(家電)といったユースケースが牽引することによって、2023年以降には主要産業分野の中で最も大きい支出額規模になると見込まれる。

全産業を見渡した場合に成長性が高いユースケースとしては、上記のスマートホームに加え、院内クリニカルケア、小売店舗内リコメンド、スマートグリッド/メーター(その他)、テレマティクス保険、コネクテッドビル(照明)、農業フィールド監視などが挙げられる。これらは、2021年~2026年の予測期間において、CAGR15%前後の高い成長が期待される。

IoT市場をテクノロジー別の観点で考察した場合、クラウド、アナリティクス、AIといった技術が飛躍的に発達し、それらを活用する上での技術/コスト障壁が急速に下がってきており、あらゆる産業の企業においてIoTをこれまで以上に効果的かつ手軽に利用可能な環境が整いつつあることが明らかとなった。

たとえば製造業の企業であれば、IoTを活用して従来型の「もの売り」ビジネスから脱却し、デジタルビジネスを創出する上では、IoTクラウドプラットフォームやアナリティクスソフトウェア(SW)、およびそれらに付随するさまざまな導入サービス/運用サービスといった技術要素に対する支出を継続的に増やすことが必要とIDCは分析している。

こうしたことから、IoT向けのソフトウェアやサービスといった技術グループへの支出額の割合が徐々に増加し、2026年には全体の50%以上に達することが見込まれる。

IDC Japan株式会社コミュニケーションズのシニアマーケットアナリストである鳥巣悠太氏は「IoTに取り組む企業の多くは経営層のIoT推進に向けたビジョン/意識の欠如を大きな課題と認識しており、そうした課題が、予算を十分に割り当てる意思決定が進まないことや、IoTの費用対効果/ビジネスモデルを明確にすることができないといった諸々の課題にもつながっている」と述べている。

続けて「こうした課題がCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)の拡大継続により益々顕著になる中、IoTに関わるベンダーは、企業の経営層の意識変革や組織変革を目的としたコンサルティングサービスや、新技術を活用したIoTユースケースの浸透に向けた啓発/マーケティング活動を強化することが不可欠となる」と述べた。

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