NTTデータと旭化成、Scope3まで網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発

昨今、SDGsをはじめとする社会課題解決への取り組みが重視されている。特に、近年増加する気象災害を背景に、気候変動への対応は、国際的な枠組みと合わせ、各企業は自社だけではなく業界全体を意識した取り組みが求められている。

こうした中、自動車OEMメーカーでは、サプライヤーにCarbon Footprint of Products(以下、CFP(※1))削減目標値を提示する企業も出てきており、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルに向けた動きが加速している。素材メーカーにおいても、サプライチェーンの中で上流メーカーから仕入れた原料に含まれるCFP(Scope3(※2))に、自社の製造プロセスで発生したCFP(Scope1,2(※2))を加えた累計排出量情報を、最終製品別に下流メーカーに提供する必要性が高まっている。

また、下流メーカーからのCFP削減要請に応えるため、新規設備導入などの判断が迫られるが、企業がCFP削減の投資対効果を図る指標を持っていないことが多く、CFP関連の投資判断を迷うケースが出ている。

株式会社NTTデータと旭化成株式会社は共同で、最終製品別のCFP管理基盤を開発した。旭化成の機能材料事業部で2022年4月から本格運用しており、5月から顧客にCFPデータ提供を開始する予定としている。

同基盤は、上流の原料メーカーから仕入れた原料別のCFP(Scope3)に、外注加工(Scope3)および自社の製造プロセスで発生した排出量(Scope1,2)を加えることで、製造プロセス全体を網羅したCFPを算出する。また、各拠点に散在するCFP関連データを集約し、最終製品別にひも付けて管理することで、グローバルの複雑な製造プロセスで発生するCFPを製品別に見える化する。

これらの機能により、下流の組み立てメーカーなどにScope1,2,3を網羅した製品ごとのCFPを提供できる。また、製品と製造プロセス別に排出量を見える化することで、製造プロセスごとの効果的な削減施策の検討が可能になる。
NTTデータと旭化成、Scope3まで網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発
さらに、自社で独自に設定したCFPコスト単価を用いて、CFPを金額に換算したICPを算出する。ICPを活用することで、例えば、将来の製品別の収支計画コストと投資に伴うCFPの削減コストを比較し、投資対効果を評価することができる。また、製造プロセス別のICPから最新省エネ機器や、自然エネルギーへの転換の投資優先度の判断を行うことができる。
NTTデータと旭化成、Scope3まで網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発
同基盤の仕組みとしては、製品全体のCFPを把握するため、仕入れ先および全拠点のデータをAnaplanに入力し、グローバルの製造工程をつないだ製品構成表(グローバムBOM)を用いて自動的に製品別の連結排出量を集計する。Anaplanの高速演算の強みを生かし、グローバルの製造プロセスを網羅した最終製品別のCFPを数秒で算出可能だ。これにより従来決算のタイミングでしか把握できなかった製品別排出量の月次などの高頻度での管理を実現する。

また、製品別排出量を分析プラットフォームであるTableauに連携し、製造工程別や製品種別ごとの詳細データ分析を実施する。なお、旭化成では詳細分析を実現するためにTableauを導入しているが、Anaplan上でのレポーティングも可能だという。
NTTデータと旭化成、Scope3まで網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発
今後NTTデータは、製造業を中心とした多岐にわたる業種に対し、本基盤の提供を含む温室効果ガス関連ビジネスで、2025年度末までに20件以上の受注を目指すとしている。

※1 CFP:商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算して定量的に算定したもの。旭化成で算定を行っているCFPはプロセス合算型データ(Cradle-to-Gate)の考え方に基づいたもので、旭化成の上流にあたる原料由来のものや輸送時に発生するもの、旭化成における製造プロセス上で発生するもの、また製造に使用される電力などのエネルギーに由来するものの合算値を指す。
※2 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
※2 Scope2:電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※2 Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

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