多くのトイレは、行ってみるまで設備などが確認できず「入ってみたらおむつ台がなかった」「手すりがなく利用が難しい」といった問題が起こりやすいのが現状である。また、移動コストが大きい人の使用も多いバリアフリートイレについても、事前に満空がわからず「行ってみたら使えなかった」状況が生じ、利用者が負担を強いられるケースも少なくない。
さらに、日本では過敏性腸症候群の有病率(人口中、その病気を持っている割合)が10~20%と推定されており、それらの人々にとっても外出ストレスの軽減の観点で、設備や満空といったトイレ情報の事前把握は重要となっている。
株式会社バカンは、「東京データプラットフォーム ケーススタディ事業」の取り組みの一環として、生活インフラであるトイレの位置や設備、満空情報をマップ上に表示させる取り組みを、渋谷区で2022年11月1日~2023年1月9日まで実証実験を実施する。
同取り組みは、誰もが手元のスマートフォンなどから手軽に地図上でトイレの位置や満空・設備情報を見られるサービス「トイレマップ」を作成することで、トイレに困らない社会の実現を目的としている。東京都がもつパブリックな施設や渋谷区の商業施設のトイレ設備データと、バカンが設置するセンサーから取得されるデータや利用者が入力するデータなどを組み合わせることで、誰もが利用できる「トイレマップ」を作成する。
マップ内では、庁舎といった自治体施設や民間施設を含む、区内105施設1,221個室のトイレ情報を確認することが可能で、バリアフリートイレなど満空情報のニーズが高い場所については、トイレ向け空き情報可視化IoTサービス「VACAN Throne」を活用することで、リアルタイムの混雑情報を検知し発信する。トイレマップの構築により、車椅子の方がバリアフリートイレを探したり、子連れの人はおむつ台のあるトイレを探すといったことが可能となる。
また、利用ユーザー自身でもトイレの設備情報などをフィードバックできる仕組みを構築することで、自治体・企業・住民がサービスの改善、向上に参加し、継続的にアップデートできる仕様となっている。ユーザー参加型にすることで設備情報の正確性の維持を図ると共に、公共トイレの自分ごと化を促し「他の利用者への思いやり」による快適なトイレ環境の実現といった効果も期待される。
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