アルムと帝人、脳血管内治療計画プログラムとRFIDを活用した次世代医療サプライチェーンの実証試験を開始

脳血管内治療は、脳梗塞や脳動脈瘤などの疾患に対し、大腿部や肘の血管などからカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、ステントやコイルと呼ばれるデバイスを留置する治療法である。この治療で用いられるステントやコイルなどのデバイスは高額であり、かつ、患者の血管サイズや瘤の形状によって使い分けが必要になるため、バリエーションが多岐に渡る。

しかしながら、これらの治療デバイスは、緊急で使用されることが多く、医療者がサイズや種類などの細かい情報を事前に指定してメーカーに発注することは困難であるため、現在はメーカーが全てのサイズや種類のデバイスを都度、病院へ貸し出すという対応がなされているのが現状である。このため、使用されなかったデバイスが滅菌切れとなって廃棄されるケースが多発しており、その廃棄コストは年間数億円に上ると言われている。

株式会社アルムと帝人株式会社は、脳血管内治療計画プログラムと電子タグシステム「RFID」を活用した次世代医療サプライチェーンの実証試験を共同で開始した。

RFIDは、Radio Frequency IDentificationの略称で、ID情報を埋め込んだICタグ(RFタグ)と、電磁波を用いた近距離の無線通信によって非接触で情報をやりとりする技術全般を指す。

同実証試験では、脳血管内治療に携わる医療現場における治療の質向上と医療資源のロス削減の実現に向けて、アルムはAIを用いたICT技術で各人にとって最適な治療計画と治療デバイスを提案するプログラムを構築し、帝人は独自のRFID技術を用いて治療デバイスの過剰や欠品を防止する在庫管理体制を整備し、このシステムの実効性を確認する。

プログラムで提案された治療計画をもとに、治療で用いる可能性のあるデバイスの情報を事前に関係者へ共有することで、最適なデバイスを、最適量で流通させる次世代医療サプライチェーンを構築することを目指す。

このサプライチェーンでは、帝人が展開する電子タグ(RFID)システム「Recoシリーズ」を活用する。同実証試験では、RFIDタグが密集する狭いスペースにおけるピッキング作業での正確なタグの読み取りが可能となる技術や、使用済みのデバイスに貼付されたRFIDタグを読み取って即時に在庫情報へ反映させる「RecoFinder」を用いる。

Recoシリーズを物流倉庫や病院内で使用して正確な在庫管理を実現することで、流通在庫を絞りながらも、必要器具の欠品リスクや器具選別による時間コストやヒューマンエラーの削減が可能になるとしている。

アルムと帝人は今後、2024年12月までに実証試験を完了し、2025年ごろまでに社会実装することを目指す。

なお、同実証試験には、東京慈恵会医科大学の関連医療機関である脳神経外科東横浜病院、血管カテーテル機器を販売する医療機器卸の株式会社アルバース、医療機器メーカーの株式会社カネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社、センチュリーメディカル株式会社、テルモ株式会社が参画し、共同で取り組む。

また、国立研究開発法人⽇本医療研究開発機構(AMED)の令和4年度「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業(基盤技術開発プロジェクト)」に採択されており、まずAI技術を活用した脳血管内治療計画プログラムを開発し、勘と経験に依存して立案されることが多い脳動脈瘤治療の治療計画およびデバイス選定プロセスをAIで最適化・平準化し、治療の質の底上げを図るとしている。

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