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PTCの戦略とオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー(2/2)

PTCジャパン株式会社 製品事業部 執行役員 成田裕次氏と、同社テクノロジープラットフォーム事業部 事業部長山口達也氏へのインタビュー後半。

・前半:PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー(1/2)

PTCのIoT事例

-ThingWorxの事例や、面白い使われ方なども教えていただけますか。

成田: もともとThingWorxにしてもAxedaにしても事業をやっていた会社を買収しているので、非常に多くのお客様を持っています。

 

ELEKTA

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー

まずエレクタという医療機器メーカーの事例ですが、医療機器と昇降機、建機、このあたりはIoTとかM2Mなんて言われる前から、センサーから取れる情報を活用し、予防保全や予測分析、遠隔サービスなどの提供に役立てている典型的な例ですね。

その中でも最近は大規模な医療機器に関しては、コンフィギュレーションをメカでやるのではなくて、ほとんどソフトウェアでやっています。例えば、サーボモーターがずれると回転角が変わってくるので、そこの電圧の変え方の変更を行うなど、メンテナンスもリモートでできるようになります 。

IoTで見ているので問題が起きても原因分析が終わって、現場では作業、いわゆる修理や保全だけになるので、サービスで客先に訪問した際の滞在時間がかなり短縮されているというのがポイントです。

 

DIEBOLD

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー

同じような話でDiebold (ダイボールド)。こちらはATMのサービスを提供されている会社ですが、テーマとしては一緒で、いわゆるダウンタイムをどうやって減らすかというところがポイントで、各ATMを監視し、何かあった際にはリモートでソフトウェア対応をされています。

 

AIRBUS

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次はエアバスです。こちらは機械の監視をしているというよりも、作業員の監視をしていると言った方がいいですね。セル型の開発になるので、適切なタイミングで適切なスキルを持った作業員が、適切なワークインストラクションを持って現地に向かい作業する。その作業が適切に終わっているかということを全体で監視しないと、「製造が予定通り進んでいるかが分からない」ということがあって、こういう事をされています。同じような取り組みはGEさんのトランスポーテーションでも同じです。

 
-でも人にセンサーが付くわけじゃないじゃないですか。

成田: 人にセンサーが付いていると思って頂いていいと思います。

 
-人はそれぞれID管理がされていて、この人はこんなスキルだという事が分かっている前提があるということですね。では、「この人とこの人組み合わせてやろう」、と思ったとき、それは部品を集めているのと変わらないという事ですよね?

成田: そうですね。ある人が作業をして行き詰まったら、誰かがサポートに行くなどということをやられてます。

 

ONFARM

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成田: 次は農業の効率化をサポートするソリューションプロバイダ、オンファームの灌漑作業事例ですが、カリフォルニアなどでは農場に水を撒きすぎるとペナルティがあるので、水を撒く量をコントロールしています。土の中の様々なポイントに15センチ・30センチ・60センチ・1メートル20センチの間隔でセンサーを入れて、土の中の水分量をモニタリングしています。土の表面が乾燥しても問題ないのですが、地面の深いところが乾燥すると農作物に影響が出てきますので、必要なタイミングで必要な量の水撒きができるような対策がなされています。

 

DHL

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また、ロジスティクスサービスを提供するDHLが、電気自動車を作るベンチャー企業を買収し ています。、弊社からはCADやPLMのプラットフォームをご提供し、クルマを作っています。

DHLはドイツポストの子会社でもあるので、そのクルマでボンという都市の配達をしており、この車が今どこにどう動いているのかという監視などをしています。

もちろん自社開発の車なので、自分たちで設計変更できるのです。例えば、もともとバンパーは一体成形なのですが、ぶつける所が大体決まっています。よって「ぶつけやすい所は、ぶつけやすい単位で交換できるようにしたらいいのではないか」、という設計変更をし自分たちで対応しています。

「もう自動車メーカーだけが車を作るのではない」、そんな時代になってきています。今は数百台規模の展開ですが、最終的にはボンの市内だけで2千台くらいの電気自動車が走るそうです。

 
-なるほどですね。

成田: やることが随分大胆だなと思いますけど、そういうところも含めて面白い例です。

 

マニュファクチャリングの効率をあげる

-今日色々伺っていてすごく感じる事は、統合してるメリットってやっぱりあるなあということです。わりと分散タイプもアリじゃない?と主張する方も結構多いですけど、確かにそういう側面がありつつも、統合してるメリットってすごくありますね。

成田: みなさん自身で統合する必要がない、インテグレーションもする必要がないですからね。今の話はサービスの話なのですけれど、先ほど山口が申しました通り、PTCはWindchill、CADなどの旧来からの製品にIoTソリューションという付加価値をつけて提供するカンパニーと、IoT プラットフォームを使って様々なお客様にソリューション作っていただくというカンパニーの2カンパニー制をとっており、IoTプラットフォームを提供しているビジネスを山口が担当しているというわけです。

一方でPTCがもともと持っているソリューションを、プラットフォームを使ってもっと高度化しようよという取り組みがアジャイルです。アジャイルというのは「もっと優れたエンジニアリングができないか」 や、「マニュファクチャリングの効率をあげよう」など、今お話したサービスのお話を進めています。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー

例えば、いわゆる製造業の方が作られている製品を考えると、製品を出荷してお客さまからフィードバックを受けて次の製品に活かすというサイクルを回すのに何年という単位の時間が必要です。この要件がもしお客様のニーズからズレていたら、何年間はその市場のニーズと製品のズレは放置されることになります。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー

それを、IoTの仕組みを使ってこんな事ができないかなというのが上記の図なのですが、「開発を迅速にやりましょう」ということです。ソフトウェアの世界ではアジャイル開発というのがあり、大体3週間から6週間くらいをひとつのスプリントにして、その中で作れるものだけ作ります。いくつかのチームで並列に開発を進め、出荷の日は決めて間に合わなかったチームは切り捨ててしまうという手法ですね。

同じようなことをソフトだけではなく、「メカ・エレ・ソフト」、いわゆるドメイン横断でできるような開発プラットフォームを作ろうとしています。また一方でいわゆる安全性とか信頼性が落ちてはいけないので、それをきちんと担保する仕組みも用意をするというのが開発の環境です。

設計が完成した後に設計レビューが入るのですけが、それをわざわざ大きいモックアップ、しかも画面を見ながらのデジタルモックアップではなくて、例えばウェアラブルをつけて車を見ると、その車が次の仕様だとこうなるというのをARでお見せできる。それを設計者やユーザーだけではなくディーラの方にも見て頂くこともできる。そんな事もしていきながら、作る前からユーザーの要望を設計に取り入れることができるのです。

そして出荷したら、PTCが昔から頑張っているデジタルツールの出番です。これをやるいちばんのチャレンジは、市場に出た後の製品の部品構成を理解し続けるということなのです。実際は設計と違う部品を使っているのに「ああ、この部品というのは品質が悪いんだ。」というのは間違った判断ですから、今でもずっと頑張っています。どういうデータ構成にすれば、データ管理ツールとしてワークするのかと。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー(2/2)
PTCジャパン株式会社 製品事業部 執行役員 成田裕次氏

 
-それは凄まじく大変なのではないでしょうか。

成田: 凄まじく大変なのですけれど、今まで何個かのソリューションを作っちゃダメ、作っちゃダメというのを繰り返していて、くじけずに頑張っています。

それをする事でモノがどう動いてるのかが分かるのと、製品のアップデートが同じくソフトウェアになるのです。テスラの例が有名ですが、朝起きたら縦列駐車ができるようになっています。それをするために「Evergreen Product」と書いてありますが、製品からデータを吸い上げるだけではなくファームウェアの更新ができるような仕組みを用意します。

また、製品の物理的な部品構成とソフトウェアの構成が分かると、上がってきた情報を予測分析する事ができるので次の開発に活かせます。しかもここも早いのです。お客様にすでに使って頂いている製品が常に新鮮な状態で保てるような仕組みづくりに挑戦をしています。まだできてないのですがくじけずに頑張ります。

 
-なかなかできないですよね。図の5番6番の「製品レビュー」や「サプライヤ競合」あたりはかなり現実的だと思います。

成田: 実はこの部分のプラットフォームはできていて、今回Vuforiaのとこも随時できるようになっています。

 
-例えば、あるメーカーのクルマがそのメーカーだけの部品だけ使っているという、すごくシンプルだったらできるような話ですよね。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー(2/2)
IoTNEWS代表 小泉耕二

成田: そうなのです。それには、ビジネススキームもカバーしなくてはいけなくてはなりません。監視しているからこそ、ちゃんと安全な部品が使えるように営業活動ができるということです。

とあるメーカーの車であればそのメーカーの純正部品だけを使って頂く。どこかから中古を持ってくるだとか、型を勝手に起こして海賊版の部品付けるとかは、中国やインドなど東南アジアで多いです。部品を外して、そこから勝手に型を起こして海賊版の部品を作り、それを製品に付けてしまうことが現に起こっています。

 
-でも御社はCADデータをお持ちなので、見かけは多分完全に一致するかどうか分かるというのと、電気系もOS的なものがコントロールすれば、変なもの混じってるかが多分分かるじゃないですか。そこまでしておいて「勝手にいじったら、保険点数下げますよ」という話をすれば、できそうな感じがしますよね。

成田: まさに、そうなのです。ITテクノロジーだけではなく、そういう諸々のコマーシャルサイドの制約を入れないとなかなか厳しいですよね。これは引き続きチャレンジします。次はマニュファクチャリングで、GEの事例をお話します。

GEはブリリアントファクトリーという取り組みをされており、PTCは基本的にはGEと一緒に取り組んでいこうという事で、今色々なソリューション作っています。そのひとつが製品を作る際の製造ラインの見える化で、Kepwareのテクノロジーを活かしています。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー

もうひとつは設備、製造設備の予兆保全をする事ができるような仕組みを今一生懸命作っています。こちらもIoTの仕掛けとKepwareの接続性の話とマシンラーニングこちらでやるという事です。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー

成田: 最後がサービスジャーニーです。血液検査装置の会社、シスメックスの事例のひとつです。血液検査装置の1番の収益源は検査薬ですが、これはかなり高価なものですので、海賊版があります。その海賊版が紛れ込まないようにしたり、検査装置そのものを売ったり、MFAに近いこともされています。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー

そして、これはまだきちんと連携はしきってないのですが、補修部品の在庫管理の仕組みも、シスメックスに導入頂いています。今後これを血液検査装置の稼働状況を見ながら、「ここの検査装置がそろそろ壊れそう」だとか、「だいぶ使っているからそろそろ交換時期だよね」というのを実際の動きをモニターしながら最適化していくようなことも、ソリューションと組み合わせて行っています。

 
-血液検査機はどのくらいの大きさのものなのでしょうか。

成田: ウォーターサーバーくらいです。

 
-なるほど。

成田: あとは日立の粒子線治療器ですが、裏に加速器が隠れていますので、機械というかもう設備、建物みたいなものです。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー

お使い頂いているのが、このサービスナレッジの仕組みですね。PTCのコネクティットサービスというのは、どういう状況で機器が動いているかというのを見たり、フィールドサービスでそのデータを活用したり、さらには機器が壊れたらサービスする人を自動でアサインしたりすることができます。

ということで今PTCは、2.5本柱くらいで動いています。今までのソリューションと新しいプラットフォームとそれを活かしたソリューションというのを用意しています。

 
-最後の0.5のところが、1番イメージつきやすいというか、自分たちの事業にあてこもうと思ったら「あ、こういうことできるんだ。」という話になりやすいですね。

成田: おっしゃる通りで、やっぱりお客様の実際のビジネスの課題に1番ミートするのはここなのです。

 
-こうやってどんどん事例や出てきたり、使いこなした例が溜まっていくことによって、ますます導入しやすくなっていくのでしょうね。

先ほどから「部品はいっぱいある」というお話が出てきますが、それがきっと実績の積み重ねであり、それを上手く組み合わせることによって、新しい問題にもわりと早期に解決すぐできるってことですよね。

成田: そうですね。まさにそこがポイントで、今までの日本のIT環境は何か問題がありそうだとしても、そこに対して手が打つまでのプロセスが長かったのです。

「RFPを出し、ベンダーを選定し、作るのに1年ですね」と。それではもう世界のスピード感に合わないのです。「より接続しやすく、分析も自動化されていて、アプリケーションも手間かからずすぐ作れますよ」というできるだけ省力化していく方向に、どんどんPTCは寄せていきますので。そこがわれわれのバリュープロポジションとなっています。

PTCのオールインワンIoTプラットフォーム「ThingWorx」 -PTCジャパン インタビュー(2/2)
左:PTCジャパン株式会社 テクノロジープラットフォーム事業部 事業部長山口達也氏/右:PTCジャパン株式会社 製品事業部 執行役員 成田裕次氏

 
-本日は、ありがとうございました。

【関連リンク】
PTCジャパン

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