IoT時代のAI活用 ーアベジャ 岡田氏講演 レポート

学生時代は3次元コンピュータグラフィックスを専攻していたというアベジャの代表を務める岡田氏。一見、人工知能とコンピュータグラフィックスは遠く感じるかもしれないが、実は近いというのだ。

IoT時代となり、大量のデータが集めることができるようになった。昨今のクラウド環境では、1GBレベルのデータであれば、3円程度で利用できるようになったという。しかし、ためるだけだと価値が少ないので、溜まってきたデータをもとにした自動化を進めるには、AI(artificial intelligence)つまり人工知能が必要になるのだという。

現在は2013年頃からスタートした第三次AIブーム

第三次というくらいだから、第一次、第二次とあるのだが、第二次AIブームは、エキスパートシステムと呼ばれるレベルのものが大半だった。その後、機械学習と呼ばれる人工知能が普及してきていることは知っている人も多いと思われる。

一般的な機械学習の手法では、人の顔には、目がある、口がある、鼻がある、耳がある、、、という情報をコンピュータに教える必要があった。しかし、これだけの情報では犬と猫の違いをロジカルに説明することはできない。耳があって、目があって、鼻があって、口があるということにはかわりがないので、何を持って特徴とするのか?ということを明確にするコトができなかったのだ。

実際に写真で犬と猫の目を二次元でみると、特徴がある程度分類されることがわかる。しかし、その線引きはどうすべきかがわからない。機械学習においては、この特徴量をどのように定義するのか、そして、線の置き方がとても難しいということだ。

機械学習では、このような気が遠くなるような作業を人が行っていたのだ。その中で、生まれたのがDeep Learningだ。

Deep Learning(ディープラーニング)

Deep Learningは、とにかく多くのデータをコンピュータに投入すると、コンピュータが自律的に顔であると認識するようになるという手法だ。注意すべきは認識するための特徴量の設計と線引きを人がやらないという点だ。

Deep Learningには幾つかがの種類があるが、現状、画像認識などの進歩が進んでいる理論は、「畳み込みニューラルネットワーク」と呼ばれるものだ。

犬の画像をコンピュータに見せ、結果犬か猫かを判断させる。間違った時は、判断の途中を調整する。こういった調整をコンピュータ自体がやるのだ。数百万回と繰り返すことで精度があがっていく。この作業は、最新のコンピュータでも学習に多くの時間がかかる。

IoT時代のAI活用 ーアベジャ 岡田氏講演 レポート

こうやって精度を上げた人工知能は、「学習済みニューラルネットワーク」と呼ぶ。そして、この学習ノウハウと実行基盤を持っている企業が強い人工知能を保有している企業だと言えるのだ。

Deep Learningの今

現在、ディープラーニングが流行っている理由としては、画像認識の世界コンテスト2012年の大会で、画像認識のエラー率が、いきなり10%下がるという事件が起きたことからだ。そして、2015年にはついに、人間の認識精度を超えた。この有名な人工知能である、ResNetはマイクロソフト社が出したものだが、152層のニューラルネットワークでおこなった結果ということだ。

IoT時代のAI活用 ーアベジャ 岡田氏講演 レポート

さらに、昨今、「強化学習」といわれる、コンピュータ対コンピュータの対戦ができるようになってきたというのだ。つまり、人工知能対人工知能の戦いをさんざんやることで、人間では想定できないような結果が実現されたということだ。

先日碁のチャンピオンを破ったとして話題となった、AlphaGoはサーバだけで数十億円の資金を投じていると言われている。その応用事例として、エアコンにおける電力消費量を40%削減するような例もでてきているということだ。

アベジャの人工知能

IoT時代のAI活用 ーアベジャ 岡田氏講演 レポート

アベジャはIoT, BigData, AIをビジネスに活用するということをやっている企業だ。設立当初、様々な理論があるディープラーニングの世界で、「できること」と「できないこと」を検証していたということだ。

岡田氏によると、顧客は、「人工知能が欲しいのではなく、その結果をビジネスの成長や利便性の向上に活用したいはず。」という。一方で、「単にデータがあったとしても、どのような形で貯蔵していくのか、どうやって新しいデータを取得していくのかということも重要」なのだ。

IoT時代のAI活用 ーアベジャ 岡田氏講演 レポート

ABEJAは、Googleのように広く一般的なことを学習した人工知能を開発するというより、特定分野の市場をどこよりも早く研究し、解析の精度より実装コストと実行速度のバランス(=実用性)を重視しているということだ。

製造業でのAI活用について

IoT時代のAI活用 ーアベジャ 岡田氏講演 レポート

データをどんどんクラウドにためて故障予知を行うということも可能で、これによって、トラブルの予兆や、カメラを使って画像解析により異常を検知するなど、サプライチェーンの様々なプロセスでも活用できると考えていると締めた。

 
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