salesforceのAI、Einstein(アインシュタイン)とIoT ーdreamforce2016レポート②

現在サンフランシスコで開催されているsalesforceの年一度のイベントdreamforce2016レポート第二回は、今回の目玉とも言える、AIサービスEinstein(アインシュタイン)とIoTの関係についてだ。

Salesforceは、マーケティング、セールス、サポートといったバリューチェーン全体を包括したクラウドサービスだが、そこにIoTの要素が入ってきた時、どのように機能するのだろうか?

Einstein x IoTCloud salesforce

会場では、ドイツのロボットメーカーKUKA製のロボットアームが全世界に配置されているケースがイメージされていた。(上の写真がロボットの実際のロボットのイメージ)

まず、ロボットの管理だが、全世界にロボットが配置されているわけだから、かなりの数になるはずだ。その数のロボットを管理しようと思うと通常のサービスでは世界地図を描き、拠点に印をつけ、拠点をクリックすると配置されているロボットの一覧が表示されるというユーザインタフェースを想像する人も多いのではないだろうか。

しかし、salesforceでは、下の図のようにあらかじめ設定された状態単位で、全世界のロボットの何パーセントがどういう状態であるか、ということを表現している。

Einstein x IoTCloud salesforce
このデモでは、緑:稼働中、赤:エラー、紫:バリデーション、オレンジ:テスト

実際運用することをイメージした場合、確かにどこのエリアのどのロボットがどういう状態かを細かく知りたいというよりは、正常に動いているのが何パーセントで、故障をしているのが何パーセント、メンテナンス中が何パーセントとなっていればよいし、極端なことを言えば、全部正常であれば細かな状態など見る必要のなくなるという発想なのだろう。

例えば、今回のデモでは稼働中となっている(緑の円)のは76%という見方をする。

そして、IoTCloudは、リアルタイムにどんどん上がってくるセンシングデータを受け取り、salesforceの画面上に表示するので、刻一刻とそれぞれの円の大きさ(つまり割合)が変わっていくこととなる。

Einsteinをつかった故障対応

では、故障などがあった場合はどうなるのだろう。

他のサービスでは、故障があった地域やロボットが赤くなるというような表現のものもあるのだが、salesforceでは「障害があったことを認識するための結局通知がくるのだから、通知を起点に次の対応を取る」という発想になっているようだ。

つまり、故障が起きた場合、担当者にsalesforce上で故障の通知がくこととなる。

Einstein x IoTCloud salesforce
一番上の行が情報元がIoTクラウドで、緊急の障害が起きていることがわかる

受け取った通知から、どういう故障がありそうなのか、どういう人的リソースをアサインするとよいのか、といったことを過去の学習経験を元にEinsteinは自動的に判断し、候補を上げる。この場合、担当者は製造メーカーの担当者でKUKAのロボットをメンテナンスできるメンテナンスマンをアサインして至急なおしていかないと、製造に支障が起きるというデモだった。

Einstein x IoTCloud salesforce
このロボットをメンテナンスできるサポートマンの候補が空き状況や、技術スキルを元に、自動的に上げられる
Einstein x IoTCloud salesforce
アサインされるサポートマンの候補が表示されるので、担当者はApplyボタンを押すだけでアサインは完了する。

当然、アサインされたメンテナンスマンにも通知が届き、修理箇所の情報が提供され、修理が完了すると全体のステータスが更新される。

さらに、IoTCloudから取得したデータを元に、Einsteinは過去の学習結果と照らし合わせて予兆保全の指示もだしてくるということだ。

Einsteinのコンセプト

Einsteinは、なにもIoTCloudにだけ対応しているのではなく、構造的にはすべてのSalesforceのアプリケーションに影響を与えていくというコンセプトとなっていた。

Einstein x IoTCloud salesforce

同社のファウンダーでプロダクト戦略の責任者であるParker Harrisは、基調講演の壇上で、「IoTではデバイスありきの解決策が多く、それでは最終的に顧客満足度の向上にはつながらない、このギャップを埋めることが重要だ」と述べた。

Einstein x IoTCloud salesforce

IoC(Internet of Customer)、つまり人を中心に考えたIoTサービスを標榜する同社ならではの、メッセージ起点、利用者視点のユーザエクスペリエンスはとても興味深い。

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