トヨタ自動車が考える『IoT工場』の将来─ITpro EXPO 2016 トヨタ基調講演

2016年10月19日から3日間東京ビッグサイトにて、「ITpro EXPO 2016」が開催されている。
本記事では19日に基調講演として行われた「トヨタ自動車が考える『IoT工場』の将来」について紹介する。

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製造業へのIoTの適用がどのように行われていくのかを考える上でトヨタの動きから目を離すことはできない、最近ではハノーバーメッセ2016にて工場内で使用する産業用ネットワークとしてEtherCATの全面的採用を発表したが同社の標榜するトヨタ生産方式と次世代プラットフォームTNGAがIoTとどのような連携を見せていくのだろう。

トヨタ生産方式

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1950年ごろにできたトヨタ生産方式だが、これは資金や技術が不足しており知恵を絞るしかなかった同社が欧米の高い生産性を持つ設備に対抗するために考えだしたものだ。本方式ではジャスト・イン・タイムと自働化が重要な要素になっている

JIT(Just in Time)

JIT
ジャストインタイムの最終目的は顧客に、良いものをタイムリーに届けるというものだ。そのためには「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」作り、届ける仕組みが必要になってくる。その実現のためにはカンバン方式が用いられ、後工程が使った分だけ前工程が部品を生産する。そうすることで過剰な在庫を持たずに済む。また自動車組み立てに使われる部品が工場に届く日程も時間単位で管理されており、倉庫コストや在庫を持つリスクを最小化する努力が行われている。

自働化

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2つ目に重要な要素はにんべんのついた自動化と呼ばれる「自働化」だ、生産全てを機械に任せる「自動化」ではなく人の知恵も織り交ぜた「自働化」を行う。機械が異常を感知した場合には自動で停止を行い、複数の作業工程に1人の人間がつけるようにする。あくまでモノ作りは人が行うものであるという、トヨタの考え方が強く出ている。

TNGA(Toyota New Global Architecture)

TNGA
TNGAの考え方は自動車を作るうえで共用できる部分は共用化を進め、大量生産を行うことで高品質なものを安く作り、外観などの地域によって大きくニーズが変わる部分は多品種生産を行うというものだ。つまり、原価低減と商品力の強化の両立を目指すものである。

トヨタIoT活用事例

実際にトヨタの生産でIoTがどのように活用されているのだろう。ここでは具体的な事例として講演で紹介されていたピッキング作業と部品運搬作業への適用事例を見ていく。

ピッキング作業

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ピッキング作業とは組み立て工程に持っていく部品を集め、運ぶ作業である。これだけ聞くと簡単な作業のように思えるがここで集める部品を間違えたり、時間がかかってしまうと、工程が止まることにもつながりかねない重要な作業である。

部品をどのような順番で集めると効率が良いかなどの情報が今まで作業者の暗黙知としてしか存在していなかったが、ここにIoTを導入することでバーコード確認によって誤品を防止することができるようになり、カイゼン活動に必要な各作業者がどれだけ作業に時間をかけているかということもシステムで知ることができるようになり、システムに任せることができる部分ができたことで作業に必要な人数も減らすことができた。

部品運搬作業

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部品工場から届けられてきた自動車部品をラインまで運ぶ作業が当然存在するが、複数の組み立てラインが存在し一つのラインで多数の部品が使わることから日々どこのラインにどの部品を届けるかというのは変動していく。

さらに部品が多数存在するということは部品が格納されている棚の数が膨大になる、そのためベテランなら経験でそれぞれの部品の格納場所などがわかるが、新人の場合は場所の把握ができていないため作業時間にばらつきが出るという問題があった。

そこで、供給場所、供給部品、供給数量を音声で伝え、またタブレットにも供給場所の指示が出されることで、作業者の熟練度による、作業時間の差異を減らすことができた。さらに音声で作業完了をデバイスに伝えることで次の指示が表示されるため、部品の供給忘れなどのポカもなくすことができた。

まとめ

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上にあげた二つの事例ではトヨタ生産方式の無駄をなくす、不良を0にするといった基本をさらに推し進めるためにIoTが導入されていた。

同社が推進するTNGAにおいては高品質、大量生産だけでなく、多品種のニーズに合わせた生産が求められる、多品種生産のために複雑化する生産工程を監視し、今までと同じようなカイゼン活動を行うためにも工場をIoT工場にする試みは続けられていくだろう。

【関連リンク】
ITpro EXPO 2016
トヨタ(TOYOTA)

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