ボッシュ、AIでIoT事業を強化

2016年、ボッシュ・グループは再び増収を達成した。暫定決算報告によると、昨年の売上高は名目で前年比3.5%増の731億ユーロだった。為替調整後の成長率は5.4%。為替変動がマイナスに影響し、売上高を13億ユーロほど押し下げる結果となった。

IoTによるモノのネットワーク化の実現とモビリティの電動化への移行を中心に、ボッシュは数十億ユーロにのぼる先行投資を行っている。2016年にボッシュの研究開発費は約66億ユーロに達した。ボッシュは2016年に、支払金利前税引前(EBIT)ベースで約43億ユーロの営業利益を確保した。ボッシュは、IoTをリードするサプライヤーを目指すという。AIによるユーザーアシスタント分野の成長の可能性が非常に大きいと見ており、ボッシュは約3億ユーロを投じてAIの研究センターを新設し、IoT分野の専門知識をさらに強化する計画だという。

AI(人工知能):研究センター新設に3億ユーロを投資

ボッシュの新しいAIセンター(BCAI: Bosch Center for Artificial Intelligence)は2017年に活動を開始する。センターの目的はAI分野の専門知識を強化すること。

ボッシュ取締役会会長(CEO)でボッシュの取締役会メンバーとして研究開発・先端エンジニアリングも担当するフォルクマル・デナー氏は次のように述べている。「ボッシュは センサーによって、モノに感覚機能を持たせることに成功しました。次の目標は、モノに学習し、インテリジェントに行動する能力を身に付けさせることです。今から10年もすれば、AI抜きで作られるボッシュ製品はほとんどなくなっているでしょう。製品自体がAIを内蔵するか、少なくともその開発と製造過程でAIが重要な役割を担うようになるはずです」。5年以内にAIを備えた製品がボッシュの売上高の10%を占めるものと見られる。

BCAIはインド(バンガロール)、米国(パロアルト)、そしてドイツ(レニンゲン)に拠点を置き、当初の従業員は合わせて100名ほどを予定。2021年までにボッシュは3億ユーロを投資し、センターを拡張予定。それと並行してセンターで働く従業員数を数倍以上に増やす計画だという。

AIによるユーザーアシスタントのソリューション:数十億ユーロの市場

ボッシュにとってIoTのパーソナル化は、IoTの次のレベルへの進展を意味する。「ボッシュはAIによって、モノをインテリジェントなアシスタントに変えます。製品が私たちのパートナーに、仲間に、そしてパーソナルアシスタントのような存在になります」とデナー氏は述べた。

米国の市場調査会社Tracticaでは、AIによるデジタル アシスタントの利用者が2021年までには3.5倍以上に増加すると予測している。「デジタル アシスタントはお客様とのインターフェースになります。ネットワーク化された製品を通じて、ボッシュはお客様とダイレクトなつながりを持つことができます。一人ひとりのユーザーをよりよく知ることで、私たちはお客様の個人的なニーズにより即したサービスを提供できます」とデナー氏が補足した。

ボッシュ、AIでIoT事業を強化
Kuri

1月にラスベガスで開かれたCES国際家電ショーでボッシュが展示した製品のひとつが、家庭用ロボットのKuriだ。このロボットの開発に当たってボッシュが重視したのがパーソナル化、すなわち人と交流する能力を持たせることだった。ボッシュは、スマートキッチンの実現を支援するアシスタントの MykieもCESで発表した。Mykieはたとえば、冷蔵庫の中身を把握し、買い物リストを自動的に作成したり、調理を助けたりする。

ボッシュ、AIでIoT事業を強化
Mykie

CESでボッシュはそのほか、「クルマ」がパーソナルアシスタントになるとどうなるかを紹介するコンセプトカーを展示。ボッシュとPrognosが共同でまとめた新しい調査報告書では、車両のネットワーク化によりドライバーは年間100時間近い時間を、車内でリラックスして過ごし、あるいはもっと有効な目的に使用できるようになると予測している。

ボッシュ、AIでIoT事業を強化

未来のモビリティ:「ビジョン・ゼロ」

「ストレスゼロ、事故ゼロ、エミッションゼロ」がボッシュの描く未来の道路交通のビジョンだという。技術的にいうなら、これは自動化、電動化、それにネットワーク化を意味する。

ボッシュは電動化の普及の前提となるコストダウンに向けて、バッテリー技術改良のための研究に取り組んでいる。シュトゥットガルト近郊のフォイヤバッハに、ボッシュはバッテリーキャンパスを設立、バッテリーセルとバッテリーパックの開発活動を集約させた。バッテリー技術のスペシャリストと300人のスタッフが一丸となって、未来のセル技術を量産可能な段階にまで開発する作業に取り組んでいる。

ボッシュは毎年、4億ユーロほどを電動化モビリティのために投資している。電気モーター、パワーエレクトロニクス、バッテリーなど、生産テスト済みのコンポーネントの多彩なポートフォリオをもとに、ボッシュはこれまでに30件の受注を獲得した。

伝統的な内燃機関のさらなる改良のためにも、ボッシュは投資を続けるという。目標のひとつは自動車用内燃機関に適し、資源の節減と、自動車のカーボンニュートラル化に寄与する合成燃料の実用化だ。「2025年の時点で、世界の新車の80%以上はなお内燃機関を搭載していると予想されています。といっても、今と同じエンジンでというわけではありません。未来の内燃機関は地球温暖化防止に重要な役割を果たすようになるでしょう」とデナー氏は予想している。

【関連リンク】
ボッシュ(Bosch)
BSH Hausgeräte

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