横浜市限定エリアでAIを活用したタクシー配車の実用実験を実施
株式会社ディー・エヌ・エーは、AIを活用したタクシー配車アプリ「タクベル」の実用実験を、横浜市と一般社団法人 神奈川県タクシー協会の協力のもと、横浜市の限定エリアを対象に2017年9月12日から10月31日まで実施することを発表した。

タクシー業界では、いわゆるUberのようなライドシェアサービスの日本上陸や、ドライバーなどの労働力の確保について大きな課題となっている。
そんな中、神奈川県タクシー協会の藤井氏は、地域公共交通であるタクシーにとって「ITサービスの導入」や、それによる「タクシーサービスのさらなる高度化」は不可欠であり、特に中小企業であるタクシー会社が集まる神奈川県では、それら課題に対して個々に対応をしていくのではなく、「県下統一スマホアプリ構想」と掲げる統一したシステムを目指し、県内エリア内での装備車両密度を高めることが成功の絶対条件になると語る。
今までは電話による配車受付の仕組みにより、いわゆる「無線配車」の領域は大きく発展したが「流し」や「駅・辻待ち」といった領域ではタクシー乗務員の経験と勘に頼らざる得ないため、この領域のIT化は大きな成長効果をもたらすと期待し、様々なサービスを検討していたという。
そんな中、DeNA社と意見交換をする機会があり、互いの意見が一致することでさらに共同で検討をすすめ、「新たな地域公共交通サービス」を共同する事業パートナーへ発展した。
DeNAが2018年に商用サービス化を目指すタクシーサービス「タクベル」

ゲームやエンタメ、コマースなど様々な事業領域にサービスを展開するDeNA。江川氏のオートモーティブ事業本部は自動車の分野を受け持ち、カーシェアサービスの「Anyco」や、ヤマト運輸と行っているラストワンマイルの次世代運輸事業の実現を目指す「ロボネコヤマト」などを手掛けている。
そんなDeNA オートモーティブ本部が手掛ける「タクベル」を利用すると、ユーザーはアプリで予想到着時間を事前に確認した上で指定の場所へタクシーの配車依頼を行うことができる。
また、アプリの画面には周辺を走行中のタクシーが可視化されて表示され、空車走行中のタクシーを簡単に確認することもできるため、配車を依頼するか、車両の移動経路を予測して捕まえるかの判断が容易にできるのだ。

AIを活用したタクシーの需要予測
さらに「タクベル」にはAIを活用した「需要予測システム」を導入する。
この「需要予測システム」は、過去の運行車両が乗客をどこで乗車してどこで下車したか、リアルタイムな人口変動情報、天候や様々なイベント情報など、タクシー需要に関連する各種データを解析し、乗務員へリアルタイムにタクシー需要予測情報を提供するものとなっている。
車両に設置した画面には乗務員の近くの地名の予測が大きく表示され、地名を選択すると需要が高いところがヒートマップで表示される。さらに、車両が移動をして対象のエリアに近づいていくと、自動的に500メートルメッシュから100メートルメッシュに拡大表示され、さらに細かい需要予測のヒートマップが確認できる。

DeNAは本実証実験を経て2018年1月よりサービスを開始し、順次ほかのエリア、タクシー会社への展開も行っていくと意欲を見せた。
実証実験の概要
実施期間:2017年9月12日(火)から2017年10月31日(火)
対応OS:iOS10.0以上
利用料金:無料 ※タクシーの運賃、タクシー会社所定の迎車料金や有料道路通行料は別途
利用方法:スマートフォンで「タクベル」アプリをダウンロード後、SMSの認証で会員登録をおこなう。位置情報をオンにして、指定の場所へタクシーの配車を依頼。
【関連リンク】
・タクベル
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1975年生まれ。株式会社アールジーン 取締役 / チーフコンサルタント。おサイフケータイの登場より数々のおサイフケータイのサービスの立ち上げに携わる。2005年に株式会社アールジーンを創業後は、AIを活用した医療関連サービス、BtoBtoC向け人工知能エンジン事業、事業会社のDXに関する事業立ち上げ支援やアドバイス、既存事業の業務プロセスを可視化、DXを支援するコンサルテーションを行っている。