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マイクロソフト、「AI for Earth」プロジェクトに投資拡大、環境問題の解決にAIで貢献

マイクロソフトは、本年7月にスタートした、地球環境問題の解決にAIで貢献するプロジェクト「AI for Earth」に、新たに5,000万ドル投資すると発表した。

「AI for Earth」立ち上げに関する記事はこちらを参照されたい。

マイクロソフト、AI研究所「Microsoft Research AI」の新設と環境問題対策「AI for Earth」の開始を発表

パリ協定の起草から今年で2年目となる。世界の政府機関や市民活動とビジネスのリーダーたちがパリに集結し、気候変動について議論が続いている。

マイクロソフトは、この問題の理解と解決にテクノロジが貢献できると考えている。

そこで、同社は戦略計画の拡大に加え、世界中で地球環境の保護に取り組む個人や組織に向けて、人工知能(AI)テクノロジを提供するため、今後5年間で5,000万ドルを投資する。

マイクロソフトは、AIを民主化し、世界中の個人や組織がその機能やパワーを活用して現実的な結果を出すことに企業としてフォーカスしている。

地球の自然を監視し、モデル化し、管理するという差し迫った課題に対応する上でも、AIは大きく貢献するというのだ。

データは、大気、水資源、土地、そして、野生動物の健康の状況など、地球の健全性について知るきっかけとなる。

しかし、大量のデータを保管、それを有用なインテリジェンスに変換するためには、テクノロジの力が必要だ。

AIは学習することで、地表、空中、宇宙のセンサーが生成するローデータを、人間とコンピューターが理解しやすい形に分類する。

AIは、地球の環境システムとその地球規模での変化を観測する能力を強化し、データを有用な情報に変換し、自然資源を有効活用するための具体的な措置を講じる上での大きな助けになるという。

AIを活用して環境問題の解決に貢献した世界の事例

マイクロソフトによると、AIによる変革は既に始まっている。

エネルギー分野では、ノルウェイの再生可能エネルギー企業Agder Energiが、マイクロソフトのクラウドとAIを活用して送電線網のデータの獲得・分析・活用を強化している。

電気自動車によるノルウェイの電力システムの負担が増す中で、Agderはこれらのテクノロジにより変動するエネルギー需要を予測し、対応できるようになったという。

データとAIは、既存のインフラを強化し、高コストの新規プロジェクトの必要性を軽減する。

AIは、より効率的で信頼性が高い自律型電力網の構築に貢献すると共に、顧客や国家がより多くの再生可能エネルギーを使用できるようにし、電気に基づく未来への移行を支援するものだという。

同様に、AIとクラウドのテクノロジがビルの電力効率性の向上に使用されている。

シンガポールでは、国家の産業基盤開発を担うJTCが運用業務をMicrosoft Cloud上に集約し、39棟のビルの監視・分析・最適化を行なっている。

JTCは、センサーのデータとアナリティクスを活用し、障害が起こる前に問題を発見・修復し、最初の3棟のビルだけでエネルギーコストを 15パーセント削減した。

米国では、総エネルギー消費の40パーセントがビル関連だ。これは、ビルのエネルギー効率を15パーセント向上できれば、グローバルのエネルギー消費を6パーセント削減できることを意味する。つまり、AIは地球規模で大きなインパクトを与える。

農業分野で応用した事例もある。

オーストラリアでは、高い労働コストと輸入コスト、乾燥した気候、激しい天気の変動が農業の大きな課題となっていた。

タスマニア州のアグテック(農業技術)企業であるYieldは、センサー、アナリティクス、アプリを活用し、農地単位にまで詳細化したリアルタイムの天候データを生成することで、農家が水などの消費を削減しつつ、収穫を増大できるようにした。

漁業分野では、Yieldは地域の牡蠣養殖業者と協力し、機械学習を使用した養殖生産高増加のための最初の製品を開発。既にこのソリューションは雨による収穫の中止を30パーセント削減し、収穫期を年間4週間延長できたという。

マイクロソフトは、このような成果に触発されたことが、「AI for Earth」プログラム拡大する理由だという。

将来的には、あらゆる農家がブロードバンドと接続し、あらゆる農地にインターネットのセンサーがある未来を構想しているということだ。

Microsoft Researchの研究成果に基づき、土壌と降雨の状況をより適切に分析するだけでなく、予測分析によって収穫高を増大させ、環境への悪影響を削減し、農家の人々がAIを活用できるよう支援していくとしている。

環境問題を解決する3つのステップ

マイクロソフトは、「AI for Earth」が環境を保護するソリューションを構築するグループや個人を強く後押しすると考えている。

そのため、単に多くのリソースを投入するだけではなく、AIを気象、水資源、農業、生物学的多様性という4つの主要領域に適用し、規模を拡大していくという長期的なコミットメントの元にこの取り組みを行なっているという。

マイクロソフトはこれを3つのステップで実現するとしている。

第一に、新しいAIアプリケーションの構築とテストのための助成金の授与を、世界中で拡大すること。

6カ月前の「AI for Earth」の立ち上げ以来、マイクロソフトはMicrosoft AzureとAIテクノロジのアクセスのために10カ国以上で35件以上の助成金を授与している。

また、AIの最適な活用を目指して、大学や民間非営利団体などに高度な研修を提供している。既に、気象、水資源、農業、生物学的多様性などへAIを適用するプロジェクトが、世界中で成功し始めているという。

次に、これらのプロジェクトと、この分野におけるマイクロソフトの研究開発成果が成熟するにつれ、最も有望なプロジェクトを識別し、その規模を拡大するための追加投資を行うというものだ。

また、AIと環境保護の専門家を集めてマイクロソフト内に新設された学際チームとの緊密な連携も行なう。

有望なAIテクノロジの適用規模拡大を援助する中で、サービスの商業化も支援し、できるだけ迅速かつ広範に、グローバルな影響力を発揮できるようにする。

これらの取り組みは、リアルタイムの正確な保護と土地被覆図の改良、FarmBeatsプログラムによる少ないリソースで生産高を増加させる精密農業、そして、Project Premonitionによる効率的な生物学的多様性管理と保護へのアプローチなど、マイクロソフトの既存の取り組みに追加して行なわれる。

最後に、これらのプロジェクトをさらに進展させ、AIの新たな技術進化をプラットフォームへサービスとして取り込み、他者が独自の環境保護の取り組みで活用できるようにする機会を特定し、追求する。

ここでは、他者が提供するプラットフォームも含まれる、マイクロソフトのプラットフォームへサービスとして取り込まれる可能性もあるという。

【関連リンク】
マイクロソフト(Microsoft)
Agder Energi
JTC

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