昨今、日本国内における再生医療の進展により、細胞培養の需要が大幅に拡大している。
その一方で、細胞培養に関わる人材の不足が課題となっている。人材不足の背景としては、熟練培養士による属人的な作業が必要であるとともに、専用実験室での長時間・長期間の作業環境などが挙げられている。
そうした中、大成建設株式会社とソフトバンク株式会社は共同で、5Gとロボットアームによる遠隔操作システムを活用し、細胞培養工程におけるピペット作業(ピペットを用いて細胞を含む少量の液体を吸引、吐出、計量する操作)の遠隔操作を目的とした実証実験を、東京ー大阪間で実施した。

実証実験の結果、ピペット作業の遠隔操作の低遅延化とその詳細なデータ取得に成功した。
今後、大成建設とソフトバンクは、ピペット作業で収集・蓄積された熟練培養士の操作データを「マルチモーダルAI」に学習させる取り組みも検討しているという。
実証実験にて得られた結果
遠隔操作の実現
5Gを活用することで、互いの拠点の状況を高画質映像としてリアルタイムで伝送することが可能となるため、東京から大阪に設置された培養液や細胞の様子を鮮明な映像で確認しながら、大阪にあるロボットアームと動きを同期させ、緻密なピペット作業を行うことができた。
遠隔操作の低遅延化を実証
東京からの動作指示が低遅延で大阪側のロボットアームに届くなど、ロボット制御やピペット作業、高画質の映像伝送など全ての過程でスムーズな操作を実現。
遠隔操作のデータ化を実現
ロボットアームやピペットの詳細な遠隔操作データをリアルタイムで記録・蓄積し、これらのデータを元に、ロボットアームの任意の動作を選択して、遠隔操作を自動的かつ正確に再現することが可能。
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