IDC Japan株式会社は、国内5Gネットワークインフラストラクチャ市場予測を発表した。
2020年の商用5Gサービス開始とサービスエリアの拡大に合わせて、5Gネットワークインフラストラクチャの構築は着実に進展している。2020年の5Gネットワークインフラストラクチャ市場(※)は、5G基地局配備とモバイルバックホールの構築が牽引し、前年のおよそ4.4倍の2,053億7,800万円に達した。
5Gサービスエリアの拡大は、2021年以降さらに加速し投資額も増加するとIDCではみている。2020年度末(会計年)における国内の5G基地局数は約2万8,000局と推定しており、2023年度末(2024年3月期末)には25万局を超えるとIDCでは予測している。
また、2021年には5G SA(5G Standalone)方式開始に向けた5G Coreの導入が始まり、基地局設備であるRAN(Radio Access Network)への投資拡大と合わせて5Gネットワークインフラストラクチャへの投資は加速するとみている。その結果、国内5Gネットワークインフラストラクチャ市場は、2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)9.9%で拡大すると予測している。
5Gネットワークインフラストラクチャ市場の中心を占める5G RANでは、RANのマルチベンダー構成を実現するRANのオープン化が進んでいる。オープン化の中ではRANの機能コンポーネントの明確な分離がなされているが、IDCでも機能コンポーネント別に5G RAN市場を予測している。
RU(Radio Unit)は、5Gエリアカバー率を高め、かつ「穴のない」稠密なエリア設計を実現するために非常に多く配備する必要があり、エリア拡大に合わせて投資額も増加する。CU(Central Unit)/DU(Distributed Unit)は、CU/DUの集約化や汎用サーバーの活用、仮想化/コンテナ化が進むことで投資の効率化が進むと予測している。5G RAN全体の2020年~2025年のCAGRは、7.1%と予測している。
オープン化が進むワイヤレスインフラストラクチャ市場において、IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野 賢一氏は「国内ワイヤレスインフラストラクチャベンダーが生き残り、海外市場進出の足がかりを築くためには、国内MNO(Mobile Network Operator)が実践するオープンRANで十分な実用性を証明することが必要条件である」と述べた。
続けて「オープンRANが機能することは当然として、運用管理システムの確立や低消費電力性能や経済性の高さを実証することが求められる。さらに、2022年以降のvRAN(virtualized RAN)導入をMNOと共に成功できるかどうかが、海外市場進出の成功と国内市場における生き残りの鍵を握る」と述べている。
※ 5Gネットワークインフラストラクチャ市場:5Gサービス基盤に用いる5G RAN、5Gコアネットワーク、ルーター、イーサネットスイッチ、光伝送装置で構成される市場。
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