5Gサービスの次世代の通信として、超広帯域・低遅延通信、広大なカバレッジ、詳細な位置測位が同時に実現されるBeyond 5Gの導入が2030年ごろに見込まれている。Beyond 5Gでは、空間・時間といった物理的制約から解放され、新たなコミュニケーション体験により、生活者の求める多様な価値観に沿う働き方や暮らしが実現する社会が到来すると考えられている。
Beyond 5Gの高度な通信技術や分散データ処理基盤を用いたデジタルとリアルの融合により、実世界をまるごとリアルタイムにデジタル化し実世界にフィードバックすることで、人とロボットの共存や未来予測など新サービスの創造や価値提供が期待されている。
国立大学法人大阪大学と日本電気株式会社(以下、NEC)は、Beyond 5G領域の産学連携の先駆的な取り組みとして、社会実装まで見据えた成果の創出、ビジョン形成、社会コンセンサスの醸成を目指して「NEC Beyond 5G協働研究所」を2021年11月1日に大阪大学に設置することを発表した。
同研究所では、Beyond 5GとAI技術によりデジタルツインを発展させ、実世界のセンシング、データ処理、制御を即時に行い、さらに制御によって変化した実世界の状況を再び仮想世界に取り込むことを目指す。
センシングデータには不確かな情報も存在すること、AI認識による誤差、実世界の環境は常に変化することなどを考慮し、実世界を確率的に推定し未来を予測して柔軟に行動する「確率的デジタルツイン」を提唱するとともに、実現に向けて確率的な認識技術やロボット制御、通信制御などの研究開発を行う。誤差を前提にした確率的な情報に基づく処理により、突発的事象や実世界の不確実性を許容することが可能になる。
また、実験ネットワークの運用による研究インフラの確保とビジョンの積極的な発信により、産学の共創パートナーを集めて多様な実証実験を実施し、新たな人材の発掘・育成も行う。
両者の役割として、大阪大学はBeyond 5Gを活用したデジタルツイン技術、デジタルツイン上でのシステム制御技術、デジタルツインを活用した建築・都市デザインの研究を行い、NECは、Beyond 5GとAIを活用したデジタルツインによる安全で高効率なロボット制御の研究、および研究成果の社会実装に向けた製品・サービスによる事業化検討を実施する。
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