フレキシブルファクトリパートナーアライアンス(以下、FFPA)では、製造現場の様々な用途として混在して利用される多様な無線システムを安定化する、協調制御技術である「SRF(Smart Resource Flow)無線プラットフォーム」の通信規格の策定を行っている。
SRF無線プラットフォームは、Field Manager、SRF Gateway、SRF Device、SRF Sensorから構成されている。
Field Managerは、複数の無線システムを統合管理するコントローラであり、アプリケーションの要求品質を満たし電波干渉を回避するよう無線リソースを協調し、制御ポリシーにより各無線システムに無線リソースを配分する。
SRF GatewayおよびSRF Deviceは、Field Managerの管理下で無線通信を行う親機・子機であり、Field Managerからの制御ポリシーに従い自律的に無線リソースを制御し、無線回線状態等を測定。Field Managerへ通知する。
SRF Sensorは、Field Managerの管理下にない無線機器を検知・監視する無線環境センサだ。
これらの連携動作により、複数の無線システムが混在している無線環境において安定した無線通信を実現する。
そうした中、FFPAは、SRF無線プラットフォームの適用拡大へ向け、2022年5月に策定した最新のSRF無線プラットフォーム通信規格の技術仕様Ver.2.0を一般公開した。
技術仕様Ver.2.0では、技術仕様Ver.1.1との後方互換性を保ちながら、新規に5G Control for Frequency Control、5G Control for Multi-radio Integration Control、Multi-hop Controlの機能などが追加されている。
技術仕様では、SRF無線プラットフォームのリファレンスアーキテクチャ、機能、機能ブロック間のメッセージ・パラメータ、代表的なシーケンスダイアグラム、データフレームを規定している。
規定している機能は、基本的な制御である必須機能と、装置やシステムを特徴付けるためにベンダが選択して実装するオプション機能に分類されている。
機能ブロック間のメッセージは、アプリケーション・プログラミング・インタフェースの一種であるREST(Representational State Transfer)APIにより定義されている。
技術仕様Ver.2.0を用いることで、5Gと免許不要周波数帯の無線方式の双方に対応した無線機器は、より安定した通信や効率的な周波数利用が可能となる。
例えば、5Gと免許不要周波数帯の無線システムの複数方式をサポートするコンボデバイスを搭載する自律移動ロボット(AMR: Autonomous Mobile Robot)が導入された現場においては、複数回線の切り替えや並列伝送による安定通信を行うことができる。
パラメータはJSON(Java Script Object Notation)フォーマットを使用して定義されている。
さらに、技術仕様Ver.2.0では、SRF無線プラットフォームを構成する要素の1つである、SRF Gatewayでネットワークを中継するマルチホップ通信機能を追加した。
このマルチホップ通信では、SRF Gateway間の無線接続や、SRF Deviceを経由したSRF Gateway同士の接続が可能になる。
これにより、安定した無線通信のカバレッジを容易に拡大することができる。
また、有線ネットワーク上にSRF Gatewayを設けることで、有線/無線混在ネットワークにも対応し、例えば5Gと有線の並列伝送のように、複数回線統合制御の柔軟性を向上させることが可能だ。
なおFFPAは、2023年1月25日から27日に東京ビッグサイトで開催される「スマート工場EXPO2023」に出展し、最新の技術仕様Ver.2.0を含むSRF無線プラットフォームの最新トピックスを紹介する。
また、ユーザーグループでのコミュニティ活動として、産業用5Gおよびローカル5Gをテーマとしたワークショップを2023年3月上旬に開催する予定だ。
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